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【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (89 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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[2020 年度に更新された情報]
寺谷らは JMDC 社のデータベースを用い, 2013 年 1 月~2015 年 12 月の期間に扁桃炎を対象に, GAS 迅
速抗原検査の施行と抗菌薬処方の関連を研究した 15. 127 万の受診が解析され, GAS の迅速抗原検査を受け
た患者は全体の 5.6%であった. 全受診の 59.3%に抗菌薬が処方され, 処方された抗菌薬の 10.8%がペニシリ
ン系であった. 迅速抗原検査を受けた患者群の抗菌薬処方割合は 75.0%で, 受けていない患者群の処方割合
(58.4%) よりも高かった.一方, ペニシリンが処方された割合は迅速抗原検査を受けた群で高かった (25.4%
vs 9.7% オッズ比 1.55 [1.50-1.60]) (表 89).
表 89: 急性咽頭炎に対して迅速抗原検査が行われた割合と抗菌薬および
ペニシリン系抗菌薬が処方された割合
咽頭炎
診断

急性咽頭炎

迅速抗原検査を

迅速抗原検査

迅速抗原検査

迅速抗原検査

迅速抗原検査

(%)

施行された人の

未施行群 %

施行群 %

未施行群 %

施行群 %

割合

(95%信頼区間)

(95%信頼区間)

(95%信頼区間)

(95%信頼区間)

3.6

58.4 (58.3-58.5)

63.1 (62.6-63.5)

9.6 (9.6-9.7)

14.8 (14.4-15.2)

17.7

10.0 (8.7-11.4)

16.5 (12.9-20.0)

10.3 (6.0-14.5)

24.6 (14.5-34.8)

88.2

82.7 (81.4-84.0)

96.2 (96.0-96.5)

39.6 (37.8-41.4)

37.3 (36.7-37.9)

5.6

58.4 (58.3-58.5)

75.0 (74.6-75.3)

9.7 (9.7-9.8)

25.4 (25.0-25.8)

1,234,915
(97.5)
2365

定された急性咽頭炎

(0.2)

合計

ペニシリンが処方された割合

受診者

A 群溶連菌以外の特

A 群溶連菌性咽頭炎

抗菌薬処方の中で

迅速抗原検査を施行された人の割合

29,300
(2.3)
1,266,580
(100.0)

[小括]
GAS 感染症は最も身近な抗菌薬投与が正当とされる感染症のひとつである. GAS 感染症では適切な検査の
施行や治療薬の選択が求められるが, これらの研究で適切に行われていないことがわかった. 特に検査の施行
が普及しておらず, 検査の適正使用の推進が求められる. また, 膀胱炎も抗菌薬投与が正当化される感染症の
一つであるが, 国内では単純性膀胱炎の治療薬として選択可能な抗菌薬が限られていることもあり (国外で
よく使用されるニトロフラントイン, トリメトプリム, ピブメシリナムなどは国内で利用不可能である), 抗菌
薬選択が第 3 世代セファロスポリンやフルオロキノロンに偏っている. 正確な診断や, 地域における薬剤感受
性の把握などが求められる.

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