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【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (54 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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② 養殖水産分野
データ元:動物由来薬剤耐性菌モニタリング

(JVARM)

JVARM では養殖水産分野における薬剤耐性に関する監視・動向調査として、病魚由来のレンサ球
菌症原因菌、類結節症原因菌 (Photobacterium damselae subsp. piscicida)及びビブリオ病原因菌
(Vibrio spp.)、並びに水産養殖環境由来の腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)の薬剤感受性の
調査を実施している。供試株は、都道府県の水産試験場で病性鑑定のために分離・同定した株等を用
いており、2011 年から 2016 年においては毎年4~6 県、2017 年においては 9 県から、2018 年には
12 県から菌株の提供があった。薬剤感受性試験には、CLSI のガイドラインに準拠した寒天平板希釈
法又は微量液体希釈法を用いて MIC 値を測定した。BP は、CLSI で規定されている薬剤についてはそ
の値を採用し、CLSI で規定されていない薬剤については、微生物学的 BP(二峰性を示す MIC 分布の
中間点)を採用した。
また、養殖水産分野における薬剤耐性の動向調査をさらに充実させるために、2017 年度からは、
対象を全ての養殖魚類に拡大し、レンサ球菌症原因菌及びビブリオ病原因菌における薬剤感受性の調
査を実施している。
ⅰ. 病魚由来レンサ球菌症原因菌 Lactococcus garvieae
2011 年から 2018 年にレンサ球菌症に対する効能を持つ 4 薬剤を対象に調査を行った。2018 年は、
LCM に対する耐性率は 31.5%であった。一方で、EM 及び OTC に対する耐性率は、0%と維持されて
いた。フロルフェニコール(FF)については二峰性の MIC 分布を示さず BP を設定できなかったため、
耐性率を求めることが出来なかったが、全ての株で低い MIC 値(≦4μg/ml)を示していたため、感
受性が維持されていると考えられる(表 59)
表 59 レンサ球菌症原因菌
薬剤*

BP

2011 年

Lactococcus garvieae の耐性率の推移(%)
2012 年

2013 年

2014 年

2015 年

2016 年

2017 年*2*3

2018 年

EM

8

0.0

10.3

0.0

0.0

3.7

8.0

1.9

0

LCM

4

92.6

76.9

71.4

62.5

59.3

76.0

61.0

31.5

OTC

8

0.0

12.8

0.0

0.0

3.7

8.0

27

39

21

16

27

25

検査株数 (n)

0.0

0

105

149

BP の単位は μg/ml。 * FF についても調査対象としているが、BP が設定できないため、耐性率は掲載していない。
*1:FF についても調査対象としているが、BP が設定できないため、耐性率は掲載していない。
*2:2016 年までぶり類由来株のみを対象にしていたが、2017 年からは海産魚由来株を対象としている。
*3:2016 年まで寒天平板希釈法で調査を実施していたが、2017 年からは微量液体希釈法で調査を実施している。

ⅱ. 病魚(ぶり類)由来類結節症病因菌 Photobacterium damselae subsp.piscicida
2011 年から 2016 年に類結節症に対する効能を持つ 5 薬剤を対象に調査を行った。供試株数が少な
く、特に 2015 年は供試菌株が3株であり、2016 年は供試菌株が分離されなかった。2011 年から
2014 年の供試菌株については、ABPC 及びオキソリン酸(OA)では各年度で耐性率の上下動が認めら
れたものの、ビコザマイシン(BCM)及びホスホマイシン(FOM)に対しては、いずれも 7.1 %以下の
耐性率が維持されていた。また、 FF に対しては、二峰性の MIC 分布を示さず、耐性率を求めること
が出来なかったが、全ての株で低い MIC 値(MIC≦1μg/ml)が認められたため、感受性は維持され
ていると考えられた。2015 年の供試菌株は、いずれの薬剤に対しても低い MIC 値を示した(表 60)。

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