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【参考資料2】【日版R4.1.17一部改正】薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23261.html
出典情報 国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第9回  1/17)《厚生労働省》
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考 察:
2019 年の経口セファロスポリン系薬、経口マクロライド系薬、経口フルオロキノロン系薬を含む
経口抗菌薬の販売量に基づく抗菌薬使用は、2013 年と比較して減少傾向にあることが確認された。
しかしながら、2018 年と比較すると減少は乏しく、一層の抗菌薬適正使用が求められる。薬剤耐性
率についてもいくつかの菌種で減少傾向にあることが明らかになり、アクションプランの数値目標の
達成へ向けた進捗が認められたが、一方で大腸菌のフルオロキノロン耐性率など、耐性率の増加傾向
が続いているものもある。
本報告書のデータを考慮し、さらなる AMR 対策の推進が必要である。フルオロキノロンの使用と
フルオロキノロン耐性大腸菌の頻度は相関している報告がある。MRSA と第 3 世代セファロスポリン、
フルオロキノロン、マクロライドの使用も関連する報告がある。よって抗菌薬の適正使用については、
抗微生物薬の手引きを用いて急性気道感染症を中心に抗菌薬の適正使用を推進し、第 3 世代セファロ
スポリン、フルオロキノロン、マクロライドの不必要な使用を削減していく必要がある。抗菌薬適正
使用の推進においては、適切な抗菌薬を必要なときに使用できることが前提であり、基本的な抗菌薬
の安定供給を確保することが重要である。また、地域毎の耐性菌情報や抗菌薬使用状況の情報が整い
つつあり、地域の状況に応じた抗菌薬の選択や感染対策の推進が望まれる。さらに、抗菌薬適正使用
を進める上で、国民および医療従事者に対して様々な手法を用いた教育啓発活動を継続していく必要
がある。
動物分野において、人医療上最も重要な抗菌剤の1つであるカルバペネム系に耐性を示す腸内細菌
科細菌及び人の院内感染などで大きな問題となるバンコマイシン耐性腸球菌属菌は分離されなかった。
しかし、2017 年から開始した疾病にり患した愛玩動物由来の大腸菌において、第3世代セファロス
ポリン及びフルオロキノロン系の抗菌剤に対する耐性率が畜産動物由来の大腸菌と比較して高いこと
が確認された。そのことから、これまで実施してきた畜産分野の薬剤耐性対策に加え、2020 年から
開始された愛玩動物における慎重使用の手引きの普及等により薬剤耐性対策を継続・強化していくこ
とが必要である。
アクションプランの成果指標である健康な畜産動物由来の大腸菌の第3世代セファロスポリン及び
フルオロキノロン系の抗菌剤に対する耐性率は低い水準が保たれており、畜産動物においては、引
き続きこれらの薬剤を第 2 次選択薬として慎重に使用するよう獣医師や生産者に啓発していく必要
がある。テトラサイクリン系の抗菌剤の販売量は 2018 年には減少しているものの、同薬剤に対する
健康な畜産動物由来の大腸菌の耐性率は低下していない。そのため、より一層獣医師及び生産者の実
態を踏まえた抗菌剤の慎重使用の取組を推進していく必要がある。
現行のアクションプランは 2020 年までの 5 カ年計画で進められてきた。一部の指標は改善傾向に
はあるが、改善の乏しい指標や新たに生じた課題が未だ多くあり、国際的な動きと協調しつつ継続的
に取り組んでいく必要がある。今後、産官学が連携し異なる分野の担当組織の協力体制を推進しつつ、
ヒトと動物と環境のリスクを横断的に評価できる研究の推進について検討する。

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