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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (66 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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45 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
○ 概要
1.概要
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)は、従来アレルギ
ー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis:AGA)あるいはチャーグ・ストラウス症候群(Churg –
Strauss syndrome:CSS)と呼ばれてきた血管炎症候群で、2012 年の国際会議で名称変更がなされた。日
本語名も、これに呼応して検討され、表記のように定められた。
臨床的特徴は、先行症状として気管支炎気管支喘息やアレルギー性鼻炎鼻副鼻腔炎がみられ、末梢血
好酸球増多を伴って血管炎を生じ、末梢神経炎、紫斑、消化管潰瘍、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・心外膜炎
などの臨床症状を呈する疾患である。30~〜60 歳の女性に好発し、男:女=4:6でやや女性に多い。
2008 年の全国調査では、我が国における年間新規患者数は、約 100 例と推定されている。で、年間
の医療施設受診者は、約 1,800 例と推定されているされた。しかし近年の指定難病受給者証所持者数でみ
ると患者数はこれよりも多いと推察される。
血中の好酸球増加以外に、好酸球性組織障害因子(ECP など好酸球カチオン性蛋白(eosinophil cationic
protein)の上昇、IgE 高値なども認められる。抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:
ANCA)のサブタイプであるミエロペルオキシダーゼに対する抗体(MPO-ANCA)が約 50%の症例で血清中
に検出される。
EGPA に特徴的な病理組織学的特徴所見は、著明な好酸球浸潤を伴う壊死性肉芽腫性炎と壊死性血管
炎である。真皮小血管を中心に核塵を伴い、血管周囲の好中球と著明な好酸球浸潤を認める細小血管の
肉芽腫性血管炎あるいはフィブリノイド変性を伴う壊死性血管炎や白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic
vasculitis)が認められ、ときに、血管外に肉芽腫形成が観察される。
診断は後述の診断基準によってなされ、(1)先行する気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎、(2)血中の
好酸球の増加、(3)前項にある血管炎症状を認めることによる。さらに病理組織所見が存在すると確実にな
る。参考所見として、血沈亢進、血小板増加、IgE 高値、血清 MPO-ANCA(p-ANCA)陽性などが重要であ
る。
2.原因
気管支喘息、アレルギー性鼻炎鼻副鼻腔炎が先行し、著明な好酸球増多症を呈することから、何らかの
アレルギー性機序により発症すると考えられる。ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用後に本症が発症するこ
とがあるが、明らかな因果関係は証明されていない。
3.症状
主要臨床症状は、先行する気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎鼻副鼻腔炎と、血管炎によるものであ
る。発熱、体重減少、末梢神経炎(多発性単神経炎)、筋痛・関節痛、紫斑、胃・腸の消化管出血、肺の画
像所見上の網状陰影や小結節状陰影、心筋梗塞や心外膜炎、脳梗塞・脳出血などである。多発性単神経
炎は、急性症状が改善してからも、知覚や運動障害が遷延残存することがある多い。

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