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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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41 巨細胞性動脈炎
○ 概要
1.概要
大型・中型の動脈に巨細胞を伴う肉芽腫を形成する動脈炎である。大動脈とその主要分枝、特に外頚
動脈を高い頻度で傷害障害する。しばしば浅側頭動脈(以下、側頭動脈)を傷害障害する。このため、以前
は「側頭動脈炎」と呼ばれていたが、現在は「巨細胞性動脈炎」とその名称が変更された。50 歳以上の高齢
者に発症し、若年者に発症する高安動脈炎と対照的である。男女比はほぼ1:2~3である。
しばしばリウマチ性多発筋痛症を伴い、後述するように両者は極めて近似した疾患と考えられている。地
理的な偏り及び遺伝素因が認められ、欧米白人に多く、日本を含めアジア人には少ない。
2.原因
原因は不明だが、ウイルスなど微生物感染などの環境因子の存在が疑われ、遺伝要因として HLA-DR-

DRB1*04 遺伝子との相関関連が報告されている。
3.症状
約3分の2の症例で側頭部の頭痛を認める。下顎顎跛行は約半数 30-40%の症例で認める特徴的な
自覚症状である。血管炎による血流低下・消失による虚血性視神経症のため、発症初期に視力・視野異常
を呈し、約 20%が視力の完全又は部分性の消失を来す。患者の 40%にリウマチ性多発性筋痛症を認め、
リウマチ性多発性筋痛症の約 15%は巨細胞性動脈炎を合併する。全身症状として発熱(多くの場合は微
熱、ときに弛張熱)、倦怠感を約 40%の患者で認める。咳嗽、咽頭痛、嗄声などの呼吸器・耳鼻科領域の症
状、末梢神経障害を認める。一過性虚血発作、脳梗塞、四肢の末梢神経障害などの神経症状は約 15%に
出現する。、まれに舌梗塞や聴力・前庭障害など耳鼻咽喉科領域の症状も認められる。
大動脈とその分枝部の病変は 20%に認められる。画像診断上、約 50%に大動脈本幹の病変、あるいは
鎖骨下動脈や腋窩動脈の病変を認める。25%程度に大動脈病変による症状徴候を認め、四肢・頸動脈の
拍動を触診すること、血管雑音を聴取することが診断上重要である。また、下肢では、約 20%に腸骨動脈
から浅大腿動脈に病変を認める。大動脈瘤は胸部・腹部に起こる。発症初期に 15%認めるが、ゆっくりと増
大し、起こり、診断後3~5年以上経てから発見されることがある。巨細胞性動脈炎における胸部及び腹部
動脈瘤は健常者のそれぞれ 17 倍、2.5 倍多いと報告されている。
画像診断上、約 42%の患者に鎖骨下動脈や腋窩動脈の狭窄を認めるが、多くは無症状である。また、
下肢では、約 37%に浅大腿動脈、腸骨動脈、膝窩動脈に病変を認める。多く両側性であり、女性に多く
(84%)、側頭動脈炎の症状は 42%と少ない。また、側頭部症状を有する症例と比べより平均6歳若い。巨
細胞性動脈炎を疑う場合には、四肢・頸動脈の拍動を触診すること、血管雑音を聴取することが重要であ
る。
4.治療法
プレドニゾロン治療を開始する。血管炎症候群の診療ガイドラインを参考に治療する(注1)。薬物治療

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