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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (55 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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44 多発血管炎性肉芽腫症
○ 概要
1.概要
多発血管炎性肉芽腫症は、以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていた疾患で、病理組織学的に(1)全身の
壊死性肉芽腫性血管炎、(2)上気道と肺を主とする壊死性肉芽腫性炎、(3)半月体形成腎炎を呈し、その発症
機序に抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA))が関与する血管炎症候群である。
元来以前は生命予後の極めて悪い疾患であるあったが、発症早期にからの免疫抑制療法を開始すると、高
率に寛解を導入できるにより治療成績が向上し、生命予後が改善した。早期確定診断に ANCA の測定は極
めて有用である。多発血管炎性肉芽腫症で認められる ANCA のサブタイプは、欧米では、ほとんどがプロテイ
ネース3に対する抗体(PR3-ANCA)であるが、わが国ではミエロペルオキシダーゼに対する抗体(MPOANCA)が約半数を占める。
2.原因
上気道の細菌感染をきっかけに発症することや、細菌感染により再発がみられることが多いので、スーパ
ー抗原の関与も推定されるが、真の原因は不明である。
欧米では特定のヨーロッパ系集団において HLA 抗原をもつ人に発症しやすい-DPB1*04 との知見もある関
連が報告されているが、我が国では特定の HLA 抗原との関連は見出されていない。最近、PR3-ANCA が、
発症要因のひとつとして注目されている。PR3-ANCA と炎症性サイトカインの存在下に好中球が活性化され、
血管壁に固着した好中球より活性酸素や蛋白分解酵素が放出されて血管炎や肉芽腫性炎症を起こすと考え
られている。
3.症状
発熱、体重減少などの全身症状とともに、(1)上気道の症状:膿性鼻漏、鼻出血、鞍鼻、中耳炎、視力低下、
咽喉頭潰瘍など、(2)肺症状:血痰、呼吸困難など、(3)急速進行性腎炎、(4)その他:紫斑、多発関節痛、多発
性単神経炎などが出現する。
症状は通常(1)→(2)→(3)の順序で起こるとされており、(1)、(2)、(3)の全ての症状が揃っているときは全
身型、いずれか二つの症状のみのときは限局型という。
4.治療法
(1)

ANCA 関連血管炎の診療ガイドライン(厚生労働省難治性疾患克服研究事業、2013 年)を参考に治
療の目標は寛解の導入と維持である。診断、臓器障害・疾患活動性の評価に続いて寛解導入治療を行う。
寛解達成後は、寛解維持治療を行う。(注1)

(2) 寛解導入治療では、副腎皮質ステロイドと+シクロホスファミドの併用で寛解導入治療を開始する。上気道
症状の強い例には、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤を併用することもある。寛解達成後に
は寛解維持療法として、を用いる(静注シクロホスファミドパルスが経口シクロホスファミドをよりも優先さ
れる)。また、本疾患の治療に対して十分な知識・経験をもつ医師のもとで、リツキシマブの使用が適切と

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