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資料1-2-3診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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34 神経線維腫症
○ 概要
1.概要
神経線維腫症 I1 型(neurofibromatosis type1:NF1、レックリングハウゼン病)は、カフェ・オ・レ斑と神経線
維腫を主徴とし、その他骨、眼、神経系、(副腎、消化管)などに多彩な症候を呈する母斑症であり、常染色
体性の顕性遺伝(優性の遺伝性遺伝)疾患である。
神経線維腫症 II2 型(neurofibromatosis type2:NF2)は、両側性に発生する聴神経鞘腫(前庭神経鞘腫)
を主徴とし、その他の神経系腫瘍(脳及び脊髄神経鞘腫、髄膜腫、脊髄上衣腫)や皮膚病変(皮下や皮内
の末梢神経鞘腫、色素斑)、眼病変(若年性白内障)を呈する常染色体染色体性の顕性遺伝(優性の遺伝
性遺伝)疾患である。
2.原因
神経線維腫症 I1 型の原因遺伝子は 17 番染色体長腕(17q11.2)に位置し、その遺伝子産物はニューロフ
ィブロミン(neurofibromin)と呼ばれ、Ras 蛋白の機能を制御して細胞増殖や細胞死を抑制することにより、
腫瘍の発生と増殖を抑制すると考えられている。NF1 遺伝子に変異(病的バリアント)を来した神経線維腫
症I型 1 型では、RasRAS の恒常的な活性化のため、RasRAS/MAPK 経路の活性化と PI3K/AKT 経路の活
性化を生じ、神経線維腫をはじめとし、多種の病変を生じると推測されている。しかし、詳しい機構について
は不明な点も多い。
神経線維腫症 II2 型の責任遺伝子は第 22 染色体長腕 22q12 に存在し、この遺伝子が作り出す蛋白質は
merlin(又は schwannomin)と名付けられている。merlin は腫瘍抑制因子として働くと考えられている。神経
線維腫症 II2 型では、merlin の遺伝子に異常が生じ、正常な merlin ができないために発症する。同様に、神
経線維腫症 II2 型以外の一般の神経鞘腫・髄膜腫・脊髄上衣腫などでも merlin の遺伝子に異常が見つか
っている。
3.症状
①神経線維腫症 I1 型は、以下の症状を特徴とする。
・カフェ・オ・レ斑-扁平で盛り上がりのない斑であり、色は淡いミルクコーヒー色から濃い褐色に至るまで
様々で、色素斑内に色の濃淡はみられない。形は長円形のものが多く、丸みを帯びた滑らかな輪郭を呈
している。小児では径 0.5cm 以上、成人では径 1.5cm 以上を基準とする。
・神経線維腫-皮膚の神経線維腫は思春期頃より全身に多発する。この他皮下の末梢神経内の神経線維
腫(nodular plexiform neurofibroma)、び漫性の神経線維腫(diffuse plexiform neurofibroma)がみられるこ
ともある。悪性末梢神経鞘腫瘍は末梢神経から発生する肉腫で患者の2~4%に生じる。
・その他の症候:
皮膚病変-雀卵斑様色素斑、大型の褐色斑、貧血母斑、若年性黄色肉芽腫、有毛性褐青色斑など。
骨病変-頭蓋骨・顔面骨の骨欠損、四肢骨の変形・病的骨折、脊柱・胸郭の変形など。
眼病変-虹彩小結節(Lisch nodule)、視神経膠腫など。

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