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【参考資料2-4】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)歯科編 (15 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
歯科編
シシリンにおける術前単回投与量は 500 mg~3 g であった。また、クラブラン酸/ア
モキシシリンの単回投与は SSI リスクを有意に減少するが、アモキシシリンでの有
意な減少は認められなかったとの報告もある 41。
一方、近年の日本の臨床研究においては、抜歯 1 時間前にアモキシシリン 250 mg
を単回投与した群と、術前と術後にそれぞれ 250 mg を投与した群では、SSI 発症率
に有意差がなかった。ただし、250 mg の単回投与では十分な血中濃度が得られず、
500 mg を投与する傾向にあることが指摘されている 42。SSI 予防を目的とした経口
抗菌薬を術前単回投与する場合は、症例の難易度や手術侵襲等に応じて十分な血中
濃度が得られる投与量での処置が重要とされている 44。さらに、日本の別のグルー
プでは、下顎埋伏智歯抜歯 1 時間前にアモキシシリン 250 mg を単回投与した群と、
術後にアモキシシリン 1 日 750 mg を追加投与した群では、前者の SSI 発症率が有意
に高かったと報告している 45。
したがって、下顎埋伏智歯抜歯における SSI 発症予防のため抗菌薬投与は、抜歯 1
時間前にアモキシシリン 250 mg 又は 500 mg の単回投与を第一優先とし、骨削除等
の手術侵襲が大きな場合や術中に高度な汚染を認めた場合等には、時間依存型であ
るアモキシシリンの十分な血中濃度が維持できる 250 mg・1 日 3 回(1 日 750 mg)
を術後 48 時間まで追加投与することが推奨される 30,46。
しかし、近年の英国のガイドラインでは、SSI 予防のための抗菌薬の予防投与は推
奨されていない 47。
なお、SSI 予防が必要なペニシリンアレルギーのある患者については、表5の「ペ
ニシリンアレルギーの場合」を参照。
(iii) 歯科用インプラント埋入時における抗菌薬の予防的投与
歯科用インプラント埋入時における抗菌薬の予防的投与に関しては、歯科用イン
プラントの早期脱落に関するシステマティックレビューやメタアナリシスの報告は
多くあり、そのほとんどが抗菌薬の予防的投与による歯科用インプラントの早期脱
落予防に対する有意性を示している 45,48-53。一方で、2015 年の EAO(European
Association for Osseointegration)のコンセンサス会議では、合併症がない歯科用イ
ンプラント埋入においては抗菌薬の予防的投与が歯科用インプラントの早期脱落に
影響しないことが示されている 54。また、近年のメタアナリシスにおいても抗菌薬
の予防的投与は早期の歯科用インプラント脱落に影響しないと報告されている 55,56。
このように、歯科用インプラントの早期脱落予防を目的とした抗菌薬の予防的投与
の有用性はいまだ明確に示されていない。
日本のガイドライン 30 においては、歯科用インプラント埋入 1 時間前にアモキシ
シリン 250 mg~1 g の単回投与が推奨されている。ただし、この推奨のエビデンス
15
第四版
歯科編
シシリンにおける術前単回投与量は 500 mg~3 g であった。また、クラブラン酸/ア
モキシシリンの単回投与は SSI リスクを有意に減少するが、アモキシシリンでの有
意な減少は認められなかったとの報告もある 41。
一方、近年の日本の臨床研究においては、抜歯 1 時間前にアモキシシリン 250 mg
を単回投与した群と、術前と術後にそれぞれ 250 mg を投与した群では、SSI 発症率
に有意差がなかった。ただし、250 mg の単回投与では十分な血中濃度が得られず、
500 mg を投与する傾向にあることが指摘されている 42。SSI 予防を目的とした経口
抗菌薬を術前単回投与する場合は、症例の難易度や手術侵襲等に応じて十分な血中
濃度が得られる投与量での処置が重要とされている 44。さらに、日本の別のグルー
プでは、下顎埋伏智歯抜歯 1 時間前にアモキシシリン 250 mg を単回投与した群と、
術後にアモキシシリン 1 日 750 mg を追加投与した群では、前者の SSI 発症率が有意
に高かったと報告している 45。
したがって、下顎埋伏智歯抜歯における SSI 発症予防のため抗菌薬投与は、抜歯 1
時間前にアモキシシリン 250 mg 又は 500 mg の単回投与を第一優先とし、骨削除等
の手術侵襲が大きな場合や術中に高度な汚染を認めた場合等には、時間依存型であ
るアモキシシリンの十分な血中濃度が維持できる 250 mg・1 日 3 回(1 日 750 mg)
を術後 48 時間まで追加投与することが推奨される 30,46。
しかし、近年の英国のガイドラインでは、SSI 予防のための抗菌薬の予防投与は推
奨されていない 47。
なお、SSI 予防が必要なペニシリンアレルギーのある患者については、表5の「ペ
ニシリンアレルギーの場合」を参照。
(iii) 歯科用インプラント埋入時における抗菌薬の予防的投与
歯科用インプラント埋入時における抗菌薬の予防的投与に関しては、歯科用イン
プラントの早期脱落に関するシステマティックレビューやメタアナリシスの報告は
多くあり、そのほとんどが抗菌薬の予防的投与による歯科用インプラントの早期脱
落予防に対する有意性を示している 45,48-53。一方で、2015 年の EAO(European
Association for Osseointegration)のコンセンサス会議では、合併症がない歯科用イ
ンプラント埋入においては抗菌薬の予防的投与が歯科用インプラントの早期脱落に
影響しないことが示されている 54。また、近年のメタアナリシスにおいても抗菌薬
の予防的投与は早期の歯科用インプラント脱落に影響しないと報告されている 55,56。
このように、歯科用インプラントの早期脱落予防を目的とした抗菌薬の予防的投与
の有用性はいまだ明確に示されていない。
日本のガイドライン 30 においては、歯科用インプラント埋入 1 時間前にアモキシ
シリン 250 mg~1 g の単回投与が推奨されている。ただし、この推奨のエビデンス
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