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【参考資料2-4】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)歯科編 (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

歯科編

3. 各論
(1) 抗菌薬の予防的投与
(i) 一般的原則
抗菌薬の予防的投与は SSI 発症率を減少させることが目的であり 27-30、組織の無
菌化が目標ではなく、術中汚染による細菌量を宿主防御機構でコントロールできる
レベルまで下げるために補助的に実施される 27。したがって、AMR 対策及び抗菌薬
の適正使用の観点からも、抗菌薬の予防的投与はその有効性が期待される場合に限
って実施されるべきである。
手術全般の感染予防を目的とした抗菌薬の予防的投与においては、手術が始まる
時点で十分な殺菌作用を示す血中濃度、組織内濃度が得られていることが重要であ
る。そのため、手術 1 時間前の単回投与が基本とされている 31,32。また、手術侵襲や
感染防御能の程度等によって術後に追加投与する場合も、術後 24 時間以内の投与が
原則とされ 30、長くても術後 48 時間以内までとされている 33。ただし、手術終了後、
数時間適切な抗菌薬濃度が維持されていれば術後の投与は必要ないとの報告も多い
30,34,35。

(ii) 抜歯時における抗菌薬の予防的投与
抜歯時における抗菌薬の予防的投与について、IE や易感染性等の全身的なリスク
を伴わない患者、あるいは局所感染や骨削除等を伴わない健常人の単純な抜歯にお
いては推奨されていない 30,36,37。
抜歯後に生じる SSI は下顎埋伏智歯抜歯後に多くみられ 38-40、下顎埋伏智歯抜歯
後に SSI が生じると、蜂窩織炎等の重篤な感染性合併症を招くこともある。下顎埋
伏智歯の抜歯前における SSI 予防のための抗菌薬投与の必要性については、これま
でにも様々な臨床研究が行われており、抗菌薬の予防的投与の有効性が認められて
いる 36,37,41-45。口腔外科医による健常人の下顎埋伏智歯抜歯において、抗菌薬の予防
的投与はプラセボと比較して SSI リスクが約 66%低減させるとの報告がある 37。ま
た、下顎埋伏智歯の抜歯 1 時間前にアモキシシリン又はクラブラン酸/アモキシシリ
ンを単回投与することで、SSI リスクが低減するとの報告もある 43。
現行の日本のガイドライン 30 では、下顎埋伏智歯抜歯においては抜歯 1 時間前の
アモキシシリン 250 mg~1 g の単回投与、又はクラブラン酸/アモキシシリン 375 mg
~1.5 g(アモキシシリンとして 250mg~1g)の単回投与が推奨されている。ただし、
この根拠となるメタアナリシス 36,37 で引用された臨床試験は、WHO の AMR グロー
バル・アクション・プランが発出される前に海外で実施されたものであり、アモキ

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