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民間病院をめぐる事業承継・M&Aの最新動向 (21 ページ)

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出典情報 民間病院をめぐる事業承継・M&Aの最新動向(7/14)《日本医師会総合政策研究機構》
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関連する指摘や提案

(1)病院の事業承継・M&A取引の際の留意点
病院の事業価値評価について理解しておくこと、少なくとも算定方法の概略
や相場観を把握しておくことが望ましい。取引は秘密保持契約を締結の上で、
当事者間では包み隠さず、対外的には秘密厳守で、進める必要がある。


自院の事業価値が十分理解されていないケースがある。極端な話、年間売上高を
超える額を提示してくるケースがある。民間同士の取引なので売買価格はいくら
であっても問題ないと主張する仲介業者もいるが、税法上の特定取引に該当する
ので適正価格で売買しないと税務上のリスクがある。病院経営者として大まかな
相場感は持って欲しい。その上で、売却時期を優先するか、あくまで売却価格を
優先するかを整理する。自院の強み、人員体制等のアピールポイントを言語化し
ておくことが重要である。



病院の場合、事業価値算定に「純資産+のれん」という考えは採らない。EBITDA
の考えに基づき18、大ざっぱに言えば「医業利益+減価償却」の 6~7 倍なら買収
を検討するというのがプロの目線である。要は 6~7 年間での投資回収という判断
基準である。この基準をベースに、さらなる経営改善の余地があるか、既存事業
とのシナジー効果があるか等を加味して、個別に判断する。



譲渡先に対して、悪い話ほど早めに開示しておいた方が良い。医療過誤があった
等のクリティカルな事態が基本合意後に発覚するとトラブルとなる。特にクロー
ジング後に発覚すると、契約書上、表明保証違反となる19。M&Aの際は、秘密保

EBITDA とは、earnings before interest, tax, depreciation, and amortization の略で、税引き前利益
に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値のことである。
19 表明保証とは、契約の一方当事者が、相手方当事者に対して、契約締結時点や譲渡日等において、一定
の事実が真実かつ正確であることを表明し、保証するもの。特にM&Aにおいて、売り手が買い手に対し
て、対象企業の財務や法務等に関する事項を保証する際に用いられる。
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