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2025年05月16日【厚労省保険局へ要望】全ての看護職員の処遇改善につながる財政支援を要望 (7 ページ)

公開元URL https://www.nurse.or.jp/home/assets/20250516_nl01.pdf
出典情報 厚労省保険局へ要望 全ての看護職員の処遇改善につながる財政支援を要望(5/16)《日本看護協会》
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Ⅰ-1-3

周術期管理における看護機能の強化

• 高齢患者が増加する中で安全に手術を提供し早期退院が可能となるよう、術後疼痛管理チーム
加算を見直し、術前・術中・術後までの周術期管理全体を評価されたい。その際に、術前から
術後までのケアプロセスを円滑に調整する上で、専門性の高い看護師を複数名配置することに
よる機能強化を要望する。


新たな地域医療構想では地域の実情に応じながら、手術等の集約化が求められている。急性期拠点機能を担う医療機関と、高齢者救急・
地域急性期機能を担う医療機関での機能分化・ 連携が重要になるが、85歳以上高齢者人口の増加により、高齢者救急・地域急性期機能を
担う医療機関での予定外入院や 手術対応が増えると考えられる。



高齢者の場合、複数疾患を有している状態で手術を受けることからきめ細やかな術前調整が必要であり、また、術後せん妄や合併症発症
のリスクも高く、ADLも含めて、術後の回復に時間を要する。さらに、認知状況に合わせた丁寧なコミュニケーション、退院後の生活等
も十分に踏まえた意思決定支援、家族支援も必要になる。



高齢者の特性等を踏まえた、術前・術中・術後までの一連の周術期管理を行うことが極めて重要になるため、術後疼痛管理チーム加算を
見直し、多職種連携による周術期管理全体の評価を要望する。さらに、術前外来・術前訪問や術後訪問等を通じて質の高い安全で高度な
周術期管理を行い、より一層、在院日数の短縮化を推進するために、専門性の高い看護師の複数名配置による機能強化を要望する。

■術後疼痛管理チーム加算の算定病院では、予定外手術や夜間手術への対応も必要 術後疼痛管理チーム加算* 届出医療機関数
になる中で、術後疼痛管理はもとより、術前外来や術前訪問など、専門性の高い
令和4年:27 令和5年:305(前年度比 11.2倍)
出典:中医協資料 総3-1-①(令和6年7月3日)
看護師(手術看護認定看護師・特定行為研修修了者)による支援が行われている。
図表1

術後疼痛管理チーム加算を算定しているDiNQL参加病院(47病院)における、
稼働病床数別にみた、手術に係る状況(中央値)
救急車の 1ヵ月間 予定外 夜間手 全身麻 麻酔科専 手術看護認定 看護師による 看護師によ
年間受 の手術 手術の 術の割 酔の割 門医数 看護師/特定 術前外来/ る術後訪問
行為研修修了 術前訪問の実 の実施割合
入れ件数 件数
割合


者数

500床以上
(n=24)
300~500床未満
(n=13)
300床未満
(n=10)

施割合

5515

665

16.0

5.2

63.1

10.5

2.5

100

100

4195

392

17.4

3.3

59.8

5.0

2.0

92.3

91.7

2492

186

10.0

1.4

51.1

2.5

0.5

100

90.0

手術看護認定看護師のカリキュラム(期待される能力)概要 ■術前外来を看護師が実施している
•手術侵襲や苦痛を最小限に留めるためのケア
•手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応
•患者及び家族の権利擁護と意思決定支援
•身体所見から病態を判断し、下記が実施できる知識・技術
経口用気管チューブ等の位置の調整、侵襲的陽圧換気の設定の
変更、人工呼吸器からの離脱、直接動脈穿刺法による採血、橈
骨動脈ラインの確保、硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与・量の
調整、持続点滴中の糖質輸液等の投与量の調整 など

病院では平均在院日数が短い傾向

看護師による術 昨年度の年間平均在院日数
前外来の実施 中央値
25tile
75tile
あり(n=77)

11.8

10.8

13.1

なし(n=95)

12.8

11.4

15.3

出典:労働と看護の質向上のためのデータベース
(DiNQL)事業(日本看護協会)

*施設基準:麻酔科の標榜、チーム体制の整備(麻酔科医1名、 研修を修了

した専任看護師1名、研修を修了した専任薬剤師1名)
看護師の研修要件は、日本看護協会の手術看護認定看護師、特定行為研
修修了者(外科術後病棟管理領域、術中麻酔管理領域、外科系基本領
域)、日本麻酔科学会の術後疼痛管理研修修了者

【周術期看護の内容】
外来診療

手術前

手術中

外来・病棟

活動内容

・術前外来・術前訪問
(術前評価、看護計画立案、
対象者に合わせた説明、
意思決定支援 等)

手術室
・呼吸ケア
・全身管理
・麻酔、循環動態
等の調整や離脱

手術後

外来診療

病棟・外来
・術後評価・継続計画の立案
・早期回復に向けたケア

手術看護認定看護師の介入事例

・A氏 80歳代女性、軽度の知的障害、膝関節炎のため関節鏡下で手術を実施
・以下の介入等により患者の協力のもと安全に手術を実施。患者の理解を得ながら
進めたことで、術後も穏やかに経過し、予定通り退院。
【術前評価・対応策の検討】
【患者への説明・準備】
・高度肥満等による気道確保困難
・特別な体位での挿管を提案し、
麻酔医:意識下挿管の必要性を検討
事前に患者と手術室で体位を
患者:「目が覚めたままチューブをのどに通すの
練習し固定器具を調整
は嫌。怖い。」→協力を得られない可能性
→患者:「実際のイメージが
・全身麻酔後のランプ体位での挿管を麻酔医と検討
ついて安心した。」

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