Ⅰ-3-2

へき地への訪問看護が可能となる体制の整備

• 地理的な事情により、訪問に通常以上の時間等を要する利用者への訪問を評価する特別地域
訪問看護加算について、介護保険の取扱いと揃え、豪雪地帯等を含められたい。
•

人口減少社会において、ほとんどの都道府県にへき地（無医地区、準無医地区）が存在している。へき地や離島に暮らす住民が必要時、
在宅医療や訪問看護を受けられる手段の確保が重要になる。

•

訪問看護事業所がへき地に事業所を設置する、又はへき地ではない場所からへき地への訪問を行う場合には、交通経路が長く、事業所に
とっては大きな負担となるため「特別地域訪問看護加算」がある。ただし、介護保険の同加算で含まれる地域でも、医療保険では含まれ
ていない範囲がある。特に豪雪地帯においては雪かき等をしながらの訪問となり、負担が大きく、訪問時の事故等の危険も大きい。

•

訪問にかかる負担は医療保険の訪問でも介護保険の訪問でも同様であり、介護保険と取扱いを揃えて、特別地域訪問看護加算の対象に
豪雪地帯等を含められたい。

■医療保険と介護保険とでは、特別地域に含まれる対象地域
が異なっており、介護保険では算定できるが医療保険では
算定できていない事業所がある。

介護保険
○離島振興対策実施地域
○奄美群島
○振興山村
○小笠原諸島
○沖縄振興特別措置法に規
定する離島
○過疎地域
●豪雪地帯・特別豪雪地帯
●辺地
●半島振興対策実施地域
●特定農山村地域
●人口密度が希薄・交通が
不便等の理由で、サービス
確保が著しく困難な地域とし
て厚労相が定めた地域

■同じ地域でも対象範囲が異なるため、特別地域訪問看護加算の算定状況に医療保険
と介護保険で差がある。
図表1

特別地域訪問看護加算（医療保険）

医療保険
○離島振興対策実施地域
○奄美群島
○振興山村
○小笠原諸島
○沖縄振興特別措置法に規
定する離島
○過疎地域

特別地域での訪問にかかる加算の算定状況（ｎ＝1,879）
算定していない

無回答

38

特別地域訪問看護加算（介護保険）

22
1779
78
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2024 年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査（日本看護協会）

■特別地域訪問看護加算を算定している事業所では、「訪問対象としている地域へ
の事業所からの距離」が長く、6割以上が半径20㎞以上を訪問範囲としている。
図表2

訪問対象としている地域へのおよその距離（特別地域訪問看護加算算定有無別）

5㎞未満

5-10km未満

算定している

5

算定していない

介護保険では対象だが、
医療保険では対象となら
ない地域

算定している
1810

31

20-30㎞未満

18

13

6

196
0%

10-20㎞未満

10%

343
20%

30-40㎞未満

40-50㎞未満

19
742

30%

40%

50%

6
291

60%

70%

（ｎ=1,879）
50㎞以上

80%

8
24

114
21
90%

100%

2024 年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査（日本看護協会）

【豪雪地帯の訪問の苦労】（兵庫県北部の事業所へのヒアリングより）
・過疎地域には該当しないが、豪雪地帯には該当している。冬場は積雪が多く、家ごと雪に埋も
れてしまうようなこともある。事業所の周りも利用者宅の周りも雪かきをする必要がある。
・事業所の職員の雪かきに加え、事業所の周りは、近隣の建築業者に特別に依頼して雪かきを
してもらっている。
・ご好意でかなり安い値段にしてもらっているが、業者依頼のコストが年間40万ほどかかる。

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