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資料1-2-7診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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101 腸管神経節細胞僅少症
○ 概要
1.概要
本症は、新生児期から消化管壁内神経節細胞の減少に起因する重篤な機能的腸閉塞症状を来す疾患
であり、予後不良の先天性消化管疾患として知られている。多くは、生命維持のために、中心静脈栄養が
長期にわたり必要であり、小腸移植の適応にもなり得る。
2.原因
消化管壁内神経節細胞の減少に起因する消化管蠕動不全がその病因であり、病変部位は小腸から肛
門までの広範囲にわたって認められる症例が多い。合併奇形はほとんど認めず、家族歴にも特筆すべきも
のはなく、現時点では遺伝的背景も乏しいと考えられる。
3.症状
新生児期から発症し、腹部膨満、嘔吐、胎便排泄遅延が主な症状である。腸管神経節細胞の減少は広
範囲に及び、また、減少の程度も症例ごとに異なることから、適切な腸瘻造設部位の推定が困難である。し
たがって、造設部位を誤ると、腸瘻造設後にうっ滞性腸炎が改善しないことになる。さらに、中心静脈栄養
も長期になるため、カテーテル感染症や静脈栄養関連肝障害などの合併症も起こしやすい。主に新生児期
に急性の腸閉塞として発症する。腸管神経の低形成が高度なものが多く、全消化管の蠕動不全を伴い、消
化管の通過障害のために長期の絶食食事摂取制限、静脈栄養管理を必要とする。これらは急性腸炎によ
る敗血症のため突然死のリスクがある。
4.治療法
診療方針については、中心静脈栄養、経腸栄養による栄養管理を行いながら、うっ滞性腸炎に対する減
圧手術を付加することが必要となる。減圧のためには腸瘻の造設が必須となる。この際に造設部位が問題
となり、初期のストーマ造設部位が本症の治療成績を決定する鍵となっている。2001~2010 年の全国調査
では、初回に空腸瘻造設例が、回腸瘻造設例に比較して、良好な予後を認める結果となっていた。一方で、
腸瘻肛門側の機能障害腸管切除の是非については、その効果は不明であり、現在のところ一定の見解を
得ていない。したがって、機能障害腸管の大量切除または温存を判断する必要があるが、現時点での方向
性は決まっていない。さらに、重症例は、臓器移植により救命できる可能性があり、小腸移植や多臓器移植
の対象疾患としての検討が今後の課題となる。
5.予後
この疾患の多くが、重症の経過をたどり、死亡率も高い。2001~2010 年の全国調査では死亡率は
22.22%となっており、前回の全国調査の岡本らの集計した神経細胞減少例 44 例中の死亡例 10 例の死亡
率 22.73%と比較して、改善を認めていない。主な死亡原因は、静脈栄養とうっ滞性腸炎に起因する重症肝
障害と敗血症であり、静脈栄養への依存度の低下と、普通食への移行の成否、有効な消化管減圧によるう

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