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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (90 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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折状態にある骨転移を早期に把握し、疼痛の軽減や病的骨折を避けるための基本動作・歩行訓練お
よび日常生活動作訓練を行うことである 5)46)。また、骨関連事象(Skeretal related event:SRE)
を生じた場合には、脊髄圧迫症状による麻痺や病的骨折の状態や治療の状況に応じて、できるだけ
ADL や QOL を高く保持できるように、適切な補装具や起居動作方法や介助方法を指導するなどし
て、代償的なアプローチを実施する。骨転移カンファレンス(キャンサーボード)の定期的な開催
は、骨転移患者の治療方針とリハビリテーション治療の方向性を決定する上で有用な手段である。
7-6. 終末期(緩和ケア主体の時期)
緩和ケアのリハビリテーション診療の目的は、「余命の長さにかかわらず、患者とその家族の希
望(Hope)
・要望(Demands)を十分に把握した上で、身体に負担が少ない日常生活動作の習得
とその時期におけるできる限り質の高い生活を実現すること」に集約される 5)6)。医療においては
医療者側のニーズ(needs)が優先されがちであるが、緩和ケアでは患者・家族の希望・要望を受
け止めて緩和ケアチームで対応策を検討する必要がある。
生命予後が月単位と推定される場合には、潜在的な能力が生かされず、能力以下の ADL となっ
ていることが多い。この時期には機能の回復は難しいが、リハビリテーション診療により、動作の
コツや適切な補装具の利用し、痛みや筋力低下をカバーする方法を指導するなどして、残存する能
力をうまく活用して ADL の維持・向上を図る(=自立的な生活の支援)5)6)。
一方、生命予後が週・日単位と推定される場合には、症状緩和や精神心理面のサポートが主体と
なる。すなわち、楽に休めるように、疼痛、呼吸困難感、疲労などの症状の緩和や車椅子やベッド
上での作業活動を提供するなどして QOL の維持に努める(=自律的な生活を支援)5)6)。
8.高齢がん患者のリハビリテーション診療に影響を与える主な問題
8-1.フレイル
高齢者では若年者に比べすべての臓器・組織の機能が低下する(図 4)。神経・筋機能が低下し、
敏しょう性、平衡性、柔軟性などの調整力や筋力、瞬発力(反応時間)が衰えてくる。また、骨代謝
系機能も低下するため、骨量や除脂肪体重の減少、耐糖能の低下を来す。さらに、呼吸・循環器系機
能では、最大心拍数・心拍出量、最大酸素摂取量、肺活量の減少がみられる一方、安静時や運動時の
血圧(特に収縮期血圧)は逆に上昇する 47)。また、加齢に伴う脊椎、股関節、膝関節などの変形性
関節症や骨粗鬆症や活動性の低下が原因となって生じる四肢筋力低下、関節可動域制限(拘縮)な
どの筋・骨格器系の機能障害が、歩行能力や ADL に影響することが多い。

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