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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (108 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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座位での更衣でも上半身の骨萎縮は停止する。さらに朝食をとり、胃大腸反射による排便促進もイ
レウス防止に有効である。
我国特有の現象といわれる「寝たきり」とは「寝かせきり」
、すなわち、患者が臥床状態に置かれ
たままにされて発生する。その解決策は、「患者を寝たきりにしないこと」である。
第 4 の担癌患者の心理的問題は極めて個性的であり、その解決は必ずしも容易ではない。この場
合、医療者に可能な対応は傾聴、厳密に言えば積極的傾聴(active listening)である。積極的傾聴
とは、豊富な臨床経験に学んで結果の予想が可能な医療者が、そのことを捨て去り、対面している
患者の言葉に虚心坦懐に耳を傾けることをいう。個々の患者において、がん終末期とは自分の人生
に初めて発生した大事件であり、経験がない。この患者における一回性について、臨床経験に学ん
でいる医療者が無視してしまうと、真の傾聴は不可能となる。
ここまで、基礎的な ADL の低下している高齢者の骨転移のリハビリで留意することについて述べ
た。そのポイントは、骨転移のある高齢者を寝たきり状態にさせない点にある。その日が訪れるま
で、患者に可能な活動を実現しながら、死に行く過程に折り合いをつけるプロセスを共有し、患者
を支えるアプローチは終末期リハビリの役割に他ならない 10)11)。

文献
1)

安部能成. 緩和リハビリテーション. がん治療レクチャー やさしく学べる最新緩和医療 Q&A .
2011;2:629-635

2)

五嶋孝博, 他. 高齢者における悪性骨軟部腫瘍治療成績向上のための工夫. 外科系連会誌.
2013;38;209-217

3)

大内敦, 晴山雅人. 骨転移・脳転移. 癌治療と宿主. 2000;12:58-72

4)

Twycross R. Introducing Palliative Care. Fourth Eds. London: Radcliffe; 2003. 17-18.

5)

安部能成. がん緩和ケアとは何か?. 日本癌治療学会誌.2014;49;459-462

6)

余宮きのみ. ここが知りたかった緩和ケア. 増補版. 東京:南江堂;2016.207

7)

中村隆一. 入門リハビリテーション医学. 第 3 版.東京:医歯薬出版;2007.432-442

8)

平澤泰介, 田島文博.リハビリテーション医療. 京都. 金芳堂;2007.33-56

9)

日本臨床腫瘍学会. 骨転移診療ガイドライン. 東京. 南江堂;2015.52-53
安部能成. 骨転移のある患者にリハビリテーションは有効か?.

10) 安部能成. 終末期リハビリテーションの臨床アプローチ. 東京:メジカルビュー;2016.
11) 大岩孝司, 鈴木喜代子. 緩和医療. 中山書店;2018.59,125

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