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資料1-2-14診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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261 タンジール病
○ 概要
1.概要
タンジール病は、血清 HDL コレステロール・アポリポタンパク A-I(アポ A-Ⅰ)濃度が著しい低値を示す
常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患であり、HDL コレステロール欠損症のほかオレンジ色の咽頭扁桃腫大、
肝脾腫、角膜混濁、末梢神経障害が特徴である。アポ A-Iによる細胞からのコレステロール引き抜きにおい
て重要な ATP binding cassette transporter A1(ABCA1)の遺伝子異常が関与していることが明らかになっ
ている。世界的にもまれで我が国では 10 家系程度の報告しかない。若年性冠動脈疾患を来すため、早期
の診断が重要である。
2.原因
血中の遊離アポ A-Iが ABCA1 に結合することでは HDL コレステロールの形成の第一段階である。
ABCA1 は細胞内からコレステロールを搬出する機能を持ち、アポ A-Iと結合することでコレステロールを付
加して preβ-HDL とする。本症では ABCA1 の機能喪失により HDL コレステロールが産生されない。また細
胞内からのコレステロール搬出が障害された結果、コレステロールエステルが細網内皮系、皮膚、粘膜、末
梢神経のシュワン細胞などに蓄積し、骨髄、肝、脾、リンパ節、皮膚、大腸粘膜、平滑筋などに泡沫細胞が
認められ、その結果種々の症状を来す。
3.症状
臓器腫大
オレンジ扁桃:扁桃は分葉・腫大し、明らかなオレンジ又は黄~灰色の表面を持つ。再発性扁桃炎や扁
桃摘出の病歴がしばしば認められる。
脾腫:軽度の血小板低下症と網状赤血球増加を伴う。
肝腫大:約3分の1に認めるが、肝機能障害は通常認めない。
その他臓器へのコレステロール蓄積:リンパ節、胸腺、腸管粘膜、皮膚、角膜(角膜混濁を来す)
末梢神経障害:軽度から重症まで様々な末梢神経障害が報告されている。
知覚障害、運動障害又は混合障害が、一過性にあるいは持続性に出現する。深部知覚や腱反射の低
下はまれで、脳神経を含む末梢神経の再発性非対称性障害や下肢に強い対称性の末梢神経障害や脊
髄空洞症様の末梢神経障害として出現する。
心血管病変
タンジール病(変異 ABCA1 遺伝子ホモ接合体)中の 20%で動脈硬化性心血管病変の症状が認められ
る。さらに 35~65 歳のタンジール病患者では 44%と対照群(男性 6.5%、女性 3.2%)と比較すると高頻
度であるとされる。ただ、ABCA1 のミスセンス変異の機能障害の違いにより動脈硬化の程度は個々の症
例により異なる。
血清脂質検査
タンジール病(変異 ABCA1 遺伝子ホモ接合体)の患者では、血中 HDL コレステロールは3±3mg/dL と

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