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資料1-2-14診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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259 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症
○ 概要
1.概要
家族性レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(lecithin cholesterol acyl transferase:LCAT)欠
損症はまれな常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)疾患であり、現在のところ世界で 80 症例ほど報告されている。
とりわけ、北欧や我が国での報告が多い。コレステロールのエステル化に重要な酵素 LCAT の酵素欠損
や活性低下により、遊離コレステロールやレシチン(フォスファチジルコリン)が増加し、その結果 HDL コレス
テロールの著名な低下及び血清コレステロールエステル比の低下を認める。組成の変化したリポタンパク
が組織に沈着することで、角膜混濁、溶血性貧血、腎機能障害などの症状を生じる。
2.原因
第 16 番染色体短腕に存在する LCAT 遺伝子の異常が関与する。LCAT 蛋白欠損により、高比重リポ蛋
白(HDL)コレステロールの極端な低下を来す。組成の変化した異常リポタンパクが角膜・骨髄・肝・脾・腎糸
球体基底膜などの組織に沈着し、泡沫細胞、組織球がみられる。大動脈や腎動脈では動脈硬化巣や内膜
などへの遊離コレステロールの沈着が認められる。
3.症状
遊離コレステロールの角膜への沈着により、全例にびまん性の角膜混濁が認められる。
赤血球膜では遊離コレステロールとレシチンの増加のため膜の脆弱性が高まり、溶血による正色素性貧
血を起こす。
LCAT 欠損症には古典型(LCAT 活性 10%未満)と部分欠損型(LCAT 活性 15~40%)がある。古典型で
はアルブミンを中心としたタンパク蛋白尿は大部分の症例で認められ、進行性の腎機能障害を呈し末期腎
不全に至るが、部分欠損型では腎機能障害を認めない。また腎機能障害を来さず角膜混濁のみを呈する
「魚眼病」という LCAT 欠損症の一亜型も存在する。
4.治療法
現時点で確立された根治療法はなく、古典型 LCAT 欠損症に対して、LCAT 遺伝子導入前脂肪細胞移植
による遺伝子治療が研究されている。
5.予後
進行性の腎機能障害が予後を規定する。タンパク蛋白尿から始まり、40~50 歳で末期腎不全に至る。角
膜混濁では角膜移植が必要となる例もあり、QOL の低下が問題となる。

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