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資料1-2-14診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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260 シトステロール血症
○ 概要
1.概要
シトステロール血症は、常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)をとる遺伝性脂質代謝異常であり、果物や野菜
に含まれる植物ステロールの一種であるシトステロールの排泄低下により血中又は組織にシトステロール
が蓄積し、黄色腫や早発性冠動脈疾患といった臨床症状を呈する疾患である。
2.原因
シトステロール血症は、ATP 結合カセットトランスポーター(ABC)G5/8 の遺伝子変異が病態形成に関与
する。食物中に含まれるステロール類は、小腸のステロール輸送蛋白 NPC1L1 により吸収される。小腸上
皮内でコレステロールはエステル化されカイロミクロン形成の材料となるが、利用されない植物ステロール
は ABCG5/8 を介して腸管内へと排泄される。本症では ABCG5/8 遺伝子変異に伴う機能異常によって植
物ステロールの排泄が障害され、体内に蓄積する。蓄積した植物ステロール(多くはシトステロール)は皮
膚や腱などの組織に沈着し黄色腫を形成、また血管壁に蓄積して動脈硬化プラークを形成する。
3.症状
皮膚・腱黄色腫、早発性冠動脈疾患を呈する。本症での動脈硬化プラークには植物ステロールの蓄積
が確認されている。異常赤血球、溶血発作、血小板減少、関節炎などがみられることもある。
4.治療法
根治療法はなく、対症療法のみである。
・食事療法として、植物ステロールを多く含む食品(植物性オイル、マーガリン、ナッツ、アボカド、チョコレー
トなど)や貝類を極力避ける。それ以外の野菜・果物は摂取可能である。しかし食事療法による効果が得
られない例も散見される。
・薬物療法としてエゼチミブ(小腸からのステロール吸収蛋白 NPC1L1 受容体の阻害薬)、コレスチミド(陰イ
オン交換樹脂でステロール吸収を抑制する)などがある。
・外科的治療法として、小腸におけるステロール吸収面積を低下させる部分的回腸バイパス手術がある。
・プラズマフェレシスが一部有効との報告もある。
・上記基本治療後(食事療法・薬物療法)を実施しても LDL コレステロール値の低下効果が不十分な場合
にはスタチンの投与を考慮する。
5.予後
早発性冠動脈疾患により生命予後が規定され、不良となることが多い。

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