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資料1-2-2診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (62 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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28 全身性アミロイドーシス
○ 概要
1.概要
全身性アミロイドーシス(amyloidosis)は、線維構造をもつ蛋白質であるアミロイドが、全身臓器に沈着す
ることによって機能障害を引き起こす一連の疾患群である。
アミロイドは、病理学的にアルカリコンゴ赤コンゴーレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で緑色ア
ップルグリーン色の複屈折を示すものである。蛋白質が立体構造(コンフォメーション)を変化させてアミロイ
ドとして凝集し疾患を引き起こすことから、コンフォメーション病の1つとして捉えられている。
2.原因
これまでに 3136 種類のアミロイドーシスが報告されており、それぞれにおけるアミロイドの形成、沈着機
序に違いがあるものの、全てに共通すると考えられているアミロイド線維形成機序は、まずアミロイド原因
(前駆体)蛋白質が産生され、次にそれがプロセッシングを受け、重合、凝集してアミロイド線維となるという
ものである。
3.症状
アミロイドーシスの症状は、アミロイドの沈着による臓器・組織の障害に基づくもので、病型ごとに異なる臨
床症状を示す。全身性アミロイドーシスで特に注目すべき症状は全身衰弱、貧血、心アミロイド沈着による
心症状、消化器障害、腎症状(ネフローゼなど)、末梢神経障害(手足のしびれや麻痺)などである。
認知症の原因の過半数は脳にアミロイド沈着(老人斑)を起こすアルツハイマー病であること、また、高齢
者では脳血管壁へのアミロイド沈着(アミロイドアンギオパチー)により、脳葉型の脳出血や皮質、皮質下に
微小出血を引き起こすことも知っておくべき重要な知識である。
4.治療法
これまで対症療法が主体であったが、近年病気を治す療法が可能になりつつある。原発性全身性免疫グ
ロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスに対しては、自己末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法あるいは
ボルテゾミブ、ダラツムマブなどの単独治療、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
(Familial Amyloid Polyneuropathy:FAP)では肝移植が行われて骨髄形質細胞を標的とした化学療法の有
効性が示されている。また、本症で遺伝性トランスサイレチン(ATTRv)アミロイドーシスに対しては抗炎症
薬ジフルニサルを用いた治療を加えて、、肝移植に加え、トランスサイレチン(TTR)四量体安定化薬である
タファミジスと核酸医薬(siRNA 製剤)であるパチシランの有効性がニューロパチーの進行を遅延させること
が明らかに証明され、本邦でも保険収載されている。タファミジスに関しては全身性野生型トランスサイレチ
ン(ATTRwt)アミロイドーシスの心症状に対する有効性も証明され、適応追加となっている。透析アミロイド
ーシスの予防として透析膜が改良され効果を挙げている。全身性アミロイド A(AA)アミロイドーシスでは抗
リウマチ作用を示す様々な生物製剤に加えて、抗 IL-6 受容体抗体を用いた治療が有効であることが明ら
かになってきている。また、アルツハイマー病ではコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジルが用いら

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