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資料1-2-2診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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資料1-2-2
(診断基準等のアップデート案(見え消し))

13 多発性硬化症/視神経脊髄炎

取扱注意

○ 概要

1.概要
多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患であり、時間的・空間的に
病変が多発するのが特徴である。通常、詳細な病歴聴取や経時的な神経学的診察により時間的・空間的
な病変の多発性を証明し、他の疾患を否定することで診断が確定する。
一方、主として視神経と脊髄に由来する症候を呈する患者の中には、視神経脊髄炎(Neuromyelitis
Optica Spectrum Disorders:NMOSD)の病態を有する患者が含まれている。NMOSD は、元来、視神経と脊
髄を比較的短期間に強く障害する炎症性の病態を背景にした、再発しない疾患として知られていたが、近
年再発性の病態が一般的であることが明らかにされ、血清中に存在する抗は血清中に存在するアクアポリ
ン4(AQP4)抗体の病態形成への関与が解明されつつある。MS と NMOSD は、現時点では、1つの疾患群
として捉えられているが関与する炎症性脱髄疾患であり、特徴的な中枢神経症状と血清中のAQP4抗体を
同定することで診断が確定する。
中枢神経の炎症性脱髄疾患で脳内に同心円状病変を呈するものを Baló 病(バロー同心円硬化症)と呼
ぶ。
2.原因
MS の原因はいまだ明らかではないが、病巣にリンパ球やマクロファージの浸潤があり、自己免疫機序を
介した炎症により脱髄が起こると考えられる。また、人種差があることなどから遺伝要因や環境因子の関与
の指摘もあるが明確になっていない。NMOSD については、抗 AQP4 抗体の関与が明らか補体依存性にな
りつつあるアストロサイトを傷害する病態機序が考えられている。
3.症状
MS の全経過中にみられる主たる症状は、視力障害、複視、小脳失調、四肢の麻痺(単麻痺、対麻痺、片
麻痺)、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、有痛性強直性痙攣等であり、病変部位によって異なる。この
他、MS に特徴的な症状として Uhthoff(ウートフ)徴候がある。これは、体温の上昇に伴って神経症状が悪
化し、体温の低下により元に戻るものである。NMOSD の視神経炎は、重症で、脊髄炎は横断性のことが多
い。また、延髄病変による難治性吃逆や嘔吐など脳病変による症状も起こることがある。
4.治療法
MS の治療は急性憎悪期急性増悪期の治療、再発防止及び進行防止の治療、急性期及び慢性期の対症
療法、リハビリテーションからなる。
MS の急性期には、ステロイド大量点滴静注療法(パルス療法と呼ぶ)や、血液血漿浄化療法を施行する。
特に抗 AQP4 抗体陽性 NMOSD では血液血漿浄化療法が有用なことが多い。
MS の再発を確実に防止する方法はまだないが、本邦で認可されている再発予防薬としてインターフェロ
ンβ注射薬(ベタフェロン及びアボネックス)、フィンゴリモド(イムセラ又はジレニア)、ナタリズマブ(タイサブ

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