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資料1-2-2診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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22 もやもや病
○ 概要
1.概要
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、日本人に多発する原因不明の進行性脳血管閉塞症であり、脳
血管撮影検査で両側の内頚動脈終末部に狭窄ないしは閉塞とその周囲に異常血管網を認める。
家族性の発症を 10~20%に認め、男女比は1:2.5 で有病率は最近の検討では 10 万人に対して3~10.5
人とされる。発症年齢は二峰性分布を示し5~10 歳を中心とする高い山と 30~40 歳を中心とする低い山を
認める。
2.原因
2011 年に、 RNF213 遺伝子がもやもや病の感受性遺伝子であることが確認された。同遺伝子多型
p.R4810K は、日本人患者の 80~90%が保因しているが、日本人健常者の1~2%も同様に保因している
ことがわかっている。つまり大部分の多型保因者はもやもや病を発症しておらず、同遺伝子だけでなく、炎
症などの何らかの二次的要因も発症に強く関与する多因子疾患と考えられる。また、p.R4810K は動脈硬化
性頭蓋内動脈狭窄症にも一定数認められ、頭蓋内閉塞性変化を来す共通した素因であることが示唆され
ている。
3.症状
無症状(偶然発見)のものから一過性ないしは固定性の神経症状を呈するものまで症状は軽重・多岐
にわたる。小児例では脳虚血症状が大半を占め、また成人例には頭蓋内出血を来す例が 30~40%に観察
される。脳虚血型(TIA 型、脳梗塞型)、脳出血型、てんかん、無症候型などに大きく分類される。
(1)小児例は大脳の虚血による神経症状を初発とするものが多く、意識障害、脱力発作(四肢麻痺、片麻
痺、単麻痺)、感覚異常、不随意運動、けいれん、頭痛などが生じる。虚血発作は過呼吸(啼泣など)で
誘発され、反復発作的に出現し、時には病側の左右が交代することもある。症状は、その後継続して生
じる場合と、停止する場合がある。脳梗塞の部位に応じた神経脱落症状を呈するが、特に広範梗塞例、
後大脳動脈閉塞を伴う例では、運動麻痺、言語障害に加えて知能低下、視野障害(皮質盲を含む。)な
どが見られる。
(2)成人例は、頭蓋内出血が(多くは脳室内出血、その他くも膜下出血、脳内出血)40~50 代を中心として
観察される。脳虚血発作の形で発症する場合、小児例と同様な高度な脳循環不全を呈するものもある
が、症状が限局し脳循環不全の軽微な例も観察される。死亡例の約半数が出血例である。
(3)虚血型、出血型が大部分を占めるが、最近は無症候で発見されるもやもや病が増加している(3~
16%)。
(4)7%程度に頭痛型もやもや病があり、特に小児例では朝方に嘔気を伴う強い頭痛を呈し血行再建術後
に軽快することが多いため、何らかの脳循環不全との関連が示唆される。

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