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参考資料6-1 日本癌治療学会日本臨床腫瘍学会日本癌学会次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づく固形がん診療に関するブリーフィングレポート (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58839.html |
出典情報 | がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(第6回 6/16)《厚生労働省》 |
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要旨
日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会による「次世代シークエンサー等を用
いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」は、2017 年 10 月 11 日に第 1.0 版が
発出され、2019 年 6 月に固形がんに対するがん遺伝子パネル検査が公的保険適用になって
以降、2020 年 3 月 11 日に第 2.0 版、2020 年 5 月 15 日に第 2.1 版1)が発出されたが、そ
れ以来 5 年改訂されていない。その間に、3 回の診療報酬改訂(2020 年、2022 年、2024
年)によって実施要件などが変わるとともに、公的保険で実施できるがん遺伝子パネル検
査は2つから5つに増え(2025 年 5 月現在)、検査数も 10 万例を超えた(2025 年 4 月 30
日現在)
。しかしながら、第 4 期がん対策推進基本計画が掲げるように、多くの患者が真
に恩恵を得るがんゲノム医療としてさらに発展し、継続していくには、現在のがん遺伝子
パネル検査に関連する制度および体制を最適化していくことが必要である。日本癌治療学
会・日本臨床腫瘍学会・日本癌学会では、これまでの固形がんに対するがん遺伝子パネル
検査の課題を検証し、将来あるべき姿、それを実現しうる方策をここにまとめた。
はじめに
我が国では、固形がんに対するがん遺伝子パネル検査が 2019 年 6 月に公的保険適用にな
って 6 年が経過し、多くの患者に検査が実施されてきた。しかし、医療政策としての精密医
療(Precision Medicine)を実現するために開発されたがん遺伝子パネル検査が、本来の効
果を十分に発揮するためにはまだ課題が残されており、解決すべき点が多くある。特に、が
ん遺伝子パネル検査に搭載されているコンパニオン診断(Companion Diagnosis, 以下 CDx)
機能とプロファイル検査機能は、それらを区別せずに適切なタイミングで実施し、その結果
に応じて医療現場で薬剤の適応を判断することが世界的にも標準的な使用法であるにもか
かわらず、我が国では、プロファイル検査として標準治療終了後(終了見込みを含む)に行
うことを前提として導入されたため、治療に繋がる割合が低いことが課題となっている。一
方、分子標的薬など遺伝子に基づく治療薬の開発が進み、標準治療として多くの標的を調べ
る必要がでてきた。そのため、以前は、単一もしくは少数の遺伝子変異を調べるだけで十分
であったものの、同時に多数の遺伝子変異を調べることのできるがん遺伝子パネル検査の
ニーズが高まってきている。しかし、診療報酬算定条件などから、その機能を十分生かしき
れていない状況がある。これらの課題に対して、ゲノム医療の実装で得られた初期経験を踏
まえ、患者に最適な医療を届けることを第一の目的として本来あるべきがんゲノム医療の
姿をあらためて検討し、適正な運用に向けて発展させることが医療者そしてアカデミアと
しての責務と考える。
がん遺伝子パネル検査の臨床実装がされた当初は、ゲノムリテラシーが臨床現場に十分
浸透していなかったため、本検査を実施する医療機関が限定されてきた(がんゲノム医療中
核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院)
。また、ゲノム解析の結
5
日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会による「次世代シークエンサー等を用
いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」は、2017 年 10 月 11 日に第 1.0 版が
発出され、2019 年 6 月に固形がんに対するがん遺伝子パネル検査が公的保険適用になって
以降、2020 年 3 月 11 日に第 2.0 版、2020 年 5 月 15 日に第 2.1 版1)が発出されたが、そ
れ以来 5 年改訂されていない。その間に、3 回の診療報酬改訂(2020 年、2022 年、2024
年)によって実施要件などが変わるとともに、公的保険で実施できるがん遺伝子パネル検
査は2つから5つに増え(2025 年 5 月現在)、検査数も 10 万例を超えた(2025 年 4 月 30
日現在)
。しかしながら、第 4 期がん対策推進基本計画が掲げるように、多くの患者が真
に恩恵を得るがんゲノム医療としてさらに発展し、継続していくには、現在のがん遺伝子
パネル検査に関連する制度および体制を最適化していくことが必要である。日本癌治療学
会・日本臨床腫瘍学会・日本癌学会では、これまでの固形がんに対するがん遺伝子パネル
検査の課題を検証し、将来あるべき姿、それを実現しうる方策をここにまとめた。
はじめに
我が国では、固形がんに対するがん遺伝子パネル検査が 2019 年 6 月に公的保険適用にな
って 6 年が経過し、多くの患者に検査が実施されてきた。しかし、医療政策としての精密医
療(Precision Medicine)を実現するために開発されたがん遺伝子パネル検査が、本来の効
果を十分に発揮するためにはまだ課題が残されており、解決すべき点が多くある。特に、が
ん遺伝子パネル検査に搭載されているコンパニオン診断(Companion Diagnosis, 以下 CDx)
機能とプロファイル検査機能は、それらを区別せずに適切なタイミングで実施し、その結果
に応じて医療現場で薬剤の適応を判断することが世界的にも標準的な使用法であるにもか
かわらず、我が国では、プロファイル検査として標準治療終了後(終了見込みを含む)に行
うことを前提として導入されたため、治療に繋がる割合が低いことが課題となっている。一
方、分子標的薬など遺伝子に基づく治療薬の開発が進み、標準治療として多くの標的を調べ
る必要がでてきた。そのため、以前は、単一もしくは少数の遺伝子変異を調べるだけで十分
であったものの、同時に多数の遺伝子変異を調べることのできるがん遺伝子パネル検査の
ニーズが高まってきている。しかし、診療報酬算定条件などから、その機能を十分生かしき
れていない状況がある。これらの課題に対して、ゲノム医療の実装で得られた初期経験を踏
まえ、患者に最適な医療を届けることを第一の目的として本来あるべきがんゲノム医療の
姿をあらためて検討し、適正な運用に向けて発展させることが医療者そしてアカデミアと
しての責務と考える。
がん遺伝子パネル検査の臨床実装がされた当初は、ゲノムリテラシーが臨床現場に十分
浸透していなかったため、本検査を実施する医療機関が限定されてきた(がんゲノム医療中
核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院)
。また、ゲノム解析の結
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