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参考資料6-1 日本癌治療学会日本臨床腫瘍学会日本癌学会次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づく固形がん診療に関するブリーフィングレポート (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58839.html |
出典情報 | がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(第6回 6/16)《厚生労働省》 |
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を実現することである。実際に、標準治療開始前にがん遺伝子パネルを実施した場合は、薬
剤につながる割合が 19.8%[34/172]と高いことが先進医療 B で報告されており、その多く
が CDx による治療で、治療効果が期待できる薬剤にアクセスできていることが示された 7)。
また、治療開始前の早いタイミングで実施することから、結果判明時に全身状態や臓器機能
が保たれている場合が多く、追跡観察期間において、薬剤につながる割合が増加することも
報告されている(1 年追跡で 22.7%[39/172]に増加)8)。一方、現行のがん遺伝子パネル検査
の運用では、治療につながる割合が 8.2%と低く 2)、がん遺伝子パネル検査を効果的に利用
できていない状況が続いている。
特に最近では、ホルモン治療不応ホルモン受容体陽性 HER2 陰性乳がんに対する AKT 阻
害薬や去勢抵抗性前立腺がんに対する PARP 阻害薬が一次治療から使用できるが、がん遺
伝子パネル検査実施の保険制度上の制限により患者さんに適切なタイミングで薬剤が届け
られないことが問題になっている。この課題を解消するためにも、がん種ごとに治療薬の適
応などを考慮した上で、実施タイミングの制限をなくし、医師が判断する適切なタイミング
で実施できるようにすることが、CDx を含めた効果的ながん遺伝子パネル検査の利活用に
つながると考える。
患者に適切なタイミングで最適な治療を届けるためには、CDx としての運用をより適切
にするとともに、がん遺伝子パネル検査の実施タイミングの制限の撤廃が理想的である。し
かし、現行の診療報酬算定要件に準拠した形でも CDx としての利用は可能であり、診療報
酬算定要件が変わらない現状を踏まえた上で、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の
診療ワーキンググループ(以下、診療 WG)では、
「コンパニオン診断を含めたがん遺伝子
パネル検査の適切な運用に関する考え方(2024 年 9 月 2 日)」9)を公開し、現行の診療報酬
算定要件を遵守した形でも CDx 機能を活用できる医療機関の負債にならない運用案を示し
た(図 2)
。
さらに、がん遺伝子パネル検査を CDx として使用した場合に、同時に得られるプロファ
ル機能の結果を用いてエキスパートパネルを実施する際、ガイドラインで示される標準治
療が終了したタイミング(終了見込みを含む)まで待ってからエキスパートパネルを実施す
ることが一般的に想定されている。
「標準治療終了(終了見込みを含む)」の解釈はがん種に
よっても異なるうえ、治療期間が長くなると、患者が転院したり、死亡したりする場合もあ
り、結果的に B011-5 がんゲノムプロファイリング検査 12,000 点(12 万円)が算定できな
いという懸念があった。しかし、この懸念に関しても、診療 WG から「ゲノムプロファイ
ル目的としてがん遺伝子パネル検査を実施する際の標準治療終了(見込みを含む)の臨床的
解釈に関する見解(2025 年 3 月 14 日)」10)が示された。
2019 年 8 月 26 日に厚生労働省保険局医療課から発出されたがん遺伝子パネル検査に関
する疑義解釈(疑義解釈資料の送付について、その 16)では、
「標準治療の終了が見込まれる
者とはどのような者をさすのか」の疑義に関して、
「医学的判断に基づき、主治医が標準治
療の終了が見込まれると判断した者」とされている 11)。臨床の現場では、病勢の悪化や抗
がん薬による有害事象により二次治療、三次治療にたどり着かない患者を比較的高頻度に
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剤につながる割合が 19.8%[34/172]と高いことが先進医療 B で報告されており、その多く
が CDx による治療で、治療効果が期待できる薬剤にアクセスできていることが示された 7)。
また、治療開始前の早いタイミングで実施することから、結果判明時に全身状態や臓器機能
が保たれている場合が多く、追跡観察期間において、薬剤につながる割合が増加することも
報告されている(1 年追跡で 22.7%[39/172]に増加)8)。一方、現行のがん遺伝子パネル検査
の運用では、治療につながる割合が 8.2%と低く 2)、がん遺伝子パネル検査を効果的に利用
できていない状況が続いている。
特に最近では、ホルモン治療不応ホルモン受容体陽性 HER2 陰性乳がんに対する AKT 阻
害薬や去勢抵抗性前立腺がんに対する PARP 阻害薬が一次治療から使用できるが、がん遺
伝子パネル検査実施の保険制度上の制限により患者さんに適切なタイミングで薬剤が届け
られないことが問題になっている。この課題を解消するためにも、がん種ごとに治療薬の適
応などを考慮した上で、実施タイミングの制限をなくし、医師が判断する適切なタイミング
で実施できるようにすることが、CDx を含めた効果的ながん遺伝子パネル検査の利活用に
つながると考える。
患者に適切なタイミングで最適な治療を届けるためには、CDx としての運用をより適切
にするとともに、がん遺伝子パネル検査の実施タイミングの制限の撤廃が理想的である。し
かし、現行の診療報酬算定要件に準拠した形でも CDx としての利用は可能であり、診療報
酬算定要件が変わらない現状を踏まえた上で、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の
診療ワーキンググループ(以下、診療 WG)では、
「コンパニオン診断を含めたがん遺伝子
パネル検査の適切な運用に関する考え方(2024 年 9 月 2 日)」9)を公開し、現行の診療報酬
算定要件を遵守した形でも CDx 機能を活用できる医療機関の負債にならない運用案を示し
た(図 2)
。
さらに、がん遺伝子パネル検査を CDx として使用した場合に、同時に得られるプロファ
ル機能の結果を用いてエキスパートパネルを実施する際、ガイドラインで示される標準治
療が終了したタイミング(終了見込みを含む)まで待ってからエキスパートパネルを実施す
ることが一般的に想定されている。
「標準治療終了(終了見込みを含む)」の解釈はがん種に
よっても異なるうえ、治療期間が長くなると、患者が転院したり、死亡したりする場合もあ
り、結果的に B011-5 がんゲノムプロファイリング検査 12,000 点(12 万円)が算定できな
いという懸念があった。しかし、この懸念に関しても、診療 WG から「ゲノムプロファイ
ル目的としてがん遺伝子パネル検査を実施する際の標準治療終了(見込みを含む)の臨床的
解釈に関する見解(2025 年 3 月 14 日)」10)が示された。
2019 年 8 月 26 日に厚生労働省保険局医療課から発出されたがん遺伝子パネル検査に関
する疑義解釈(疑義解釈資料の送付について、その 16)では、
「標準治療の終了が見込まれる
者とはどのような者をさすのか」の疑義に関して、
「医学的判断に基づき、主治医が標準治
療の終了が見込まれると判断した者」とされている 11)。臨床の現場では、病勢の悪化や抗
がん薬による有害事象により二次治療、三次治療にたどり着かない患者を比較的高頻度に
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