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参考資料6-1 日本癌治療学会日本臨床腫瘍学会日本癌学会次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づく固形がん診療に関するブリーフィングレポート (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58839.html |
出典情報 | がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(第6回 6/16)《厚生労働省》 |
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CDx に基づいた治療効果の高い薬剤を患者さんに届けることを目的としており、今後増加
すると思われるがん遺伝子パネル検査に搭載される CDx にも適切に対応する必要がある。
CDx として運用した場合は、主治医または担当医レベルで速やかに治療方針に反映させる
ことができるメリットも考慮すべきである。また、同時に得られるプロファイル検査に基づ
いて治験など臨床試験への組み入れを促進し、わが国における新薬承認を促進させること
も重要である。
これらを実現するためには、がん遺伝子パネル検査に搭載されている CDx 機能とプロフ
ァイル機能を区別せずに、ひとつの検査として実施し、その結果に基づいて CDx として対
応するのか、プロファイル検査として対応するのかをがん治療の専門の医師が判断するこ
とが本来あるべき姿である(図 1)。実際に、プロファイル検査の結果からエキスパートパネ
ルが当該遺伝子異常に係る医薬品投与が適切であると推奨した場合、改めて CDx を行うこ
となく当該医薬品を投与しても差し支えないとする、いわゆる“みなし CDx”が、2019 年 6
月 4 日に厚生労働省保険局医療課より発出された
「疑義解釈資料の送付について(その 15)」
においてすでに認められている 3)。すなわち、がん遺伝子パネル検査を実施した際は、CDx
機能とプロファイル機能を区別せず D006-19 がんゲノムプロファイリング検査 44,000 点
として算定するとともに、その結果についてがん専門の医師が判断するプロセスを含めて
B011-5 がんゲノムプロファイリング評価提供料 12,000 点(12 万円)を算定する運用が、
もっとも理想的であると考える。
2
がん遺伝子パネル検査の実施タイミングを標準治療終了後(終了見込みを含む)に制
限せず、薬剤への到達率を高められるようにすべきである
現状:前述の米国の例のように、諸外国では、がん遺伝子パネル検査の実施タイミングの
制限はない。その理由のひとつは、CDx として使用することが目的であるからである。我
が国でも、がん遺伝子パネル検査を CDx として使用する場合には、実施タイミングを考慮
する必要がないが、1の項で記述したように費用面から CDx として使用しにくい状況にあ
る。そのため、ほとんどの症例はプロファイル検査として実施されているのが現状である。
しかし、プロファイル検査として使用する場合は、標準治療終了後(終了見込みを含む)と
いう制限があり、そのタイミングでは全身状態や臓器機能の悪化などにより、治療薬が提案
されても治療できない症例が 10~30%あることが報告され 4-6)、実際に治療につながる割
合が 10%以下と低いことの理由のひとつとされている。また、プロファイル検査で検出さ
れた CDx 対象のバリアントは、すでにがん遺伝子パネル検査ではない他の個別の CDx に
よって検査・治療されている場合も多く、治療選択という面では臨床的な意義に乏しい。ま
た、プロファイル検査の結果、当該バリアントを対象とした治験などの臨床試験による治療
が推奨されたとしても、前述のように全身状態や臓器機能の悪化などの理由で、治験に参加
できないことも多い 4-6)。
あるべき姿: がん遺伝子パネル検査の目的は、同時に複数の CDx を調べて効果の期待
できる複数の薬剤の適応の有無を確認し、効率的に治療する精密医療(Precision Medicine)
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すると思われるがん遺伝子パネル検査に搭載される CDx にも適切に対応する必要がある。
CDx として運用した場合は、主治医または担当医レベルで速やかに治療方針に反映させる
ことができるメリットも考慮すべきである。また、同時に得られるプロファイル検査に基づ
いて治験など臨床試験への組み入れを促進し、わが国における新薬承認を促進させること
も重要である。
これらを実現するためには、がん遺伝子パネル検査に搭載されている CDx 機能とプロフ
ァイル機能を区別せずに、ひとつの検査として実施し、その結果に基づいて CDx として対
応するのか、プロファイル検査として対応するのかをがん治療の専門の医師が判断するこ
とが本来あるべき姿である(図 1)。実際に、プロファイル検査の結果からエキスパートパネ
ルが当該遺伝子異常に係る医薬品投与が適切であると推奨した場合、改めて CDx を行うこ
となく当該医薬品を投与しても差し支えないとする、いわゆる“みなし CDx”が、2019 年 6
月 4 日に厚生労働省保険局医療課より発出された
「疑義解釈資料の送付について(その 15)」
においてすでに認められている 3)。すなわち、がん遺伝子パネル検査を実施した際は、CDx
機能とプロファイル機能を区別せず D006-19 がんゲノムプロファイリング検査 44,000 点
として算定するとともに、その結果についてがん専門の医師が判断するプロセスを含めて
B011-5 がんゲノムプロファイリング評価提供料 12,000 点(12 万円)を算定する運用が、
もっとも理想的であると考える。
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がん遺伝子パネル検査の実施タイミングを標準治療終了後(終了見込みを含む)に制
限せず、薬剤への到達率を高められるようにすべきである
現状:前述の米国の例のように、諸外国では、がん遺伝子パネル検査の実施タイミングの
制限はない。その理由のひとつは、CDx として使用することが目的であるからである。我
が国でも、がん遺伝子パネル検査を CDx として使用する場合には、実施タイミングを考慮
する必要がないが、1の項で記述したように費用面から CDx として使用しにくい状況にあ
る。そのため、ほとんどの症例はプロファイル検査として実施されているのが現状である。
しかし、プロファイル検査として使用する場合は、標準治療終了後(終了見込みを含む)と
いう制限があり、そのタイミングでは全身状態や臓器機能の悪化などにより、治療薬が提案
されても治療できない症例が 10~30%あることが報告され 4-6)、実際に治療につながる割
合が 10%以下と低いことの理由のひとつとされている。また、プロファイル検査で検出さ
れた CDx 対象のバリアントは、すでにがん遺伝子パネル検査ではない他の個別の CDx に
よって検査・治療されている場合も多く、治療選択という面では臨床的な意義に乏しい。ま
た、プロファイル検査の結果、当該バリアントを対象とした治験などの臨床試験による治療
が推奨されたとしても、前述のように全身状態や臓器機能の悪化などの理由で、治験に参加
できないことも多い 4-6)。
あるべき姿: がん遺伝子パネル検査の目的は、同時に複数の CDx を調べて効果の期待
できる複数の薬剤の適応の有無を確認し、効率的に治療する精密医療(Precision Medicine)
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