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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (44 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
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<成人期神経変性を伴う小児期非進行性脳症 static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in
adulthood: SENDA/ベータプロペラタンパク質に関連した神経変性症 beta-propeller protein-associated
neurodegeneration: BPAN/NBIA5>
1. 病因遺伝子と概要
オートファジー関連脳内鉄沈着神経変性症で、比較的重度の知的障害と軽度の運動発達遅滞で小児期に
発症する。成人期以降に認知症やジストニア・パーキンソニズムが急速に進行し、数年の経過で臥床状態と
なる。
(1)遺伝様式:X 染色体顕性遺伝(優性遺伝)様式(遺伝子座;Xp11.23、病因遺伝子;WDR45、遺伝子産
物;WD repeat domain phosphoinositide interacting protein 4:WIPI4、原則 de novo 変異である。X 染色
体の不活性化により、正常異常アレルの発現の偏りが発症に関与する。男性は一般的には胎生致死と
なる。OMIM#300894)
(2)発症年齢:小児期~成人期
(3)頻度:不明
2. 臨床症状
小児期に知的障害運動発達遅滞で発症し、成人期以降に進行性の運動・認知機能低下、錐体路症状、睡
眠障害を示す。発語は数単語に留まる。聴覚認知機能の障害は言語に比較して軽度で、簡単な指示理解
は可能である。小児期に多彩なてんかん症状を示すことが少なくないが、成人期以降は発作頻度は軽減す
る。遺伝子が同定された際に static encephalopathy with neurodegeneration in childhood: SENDA と称され
た。軽症例では手指の常同運動が目立ち、当初、非典型 Rett 症候群とされた症例もある。成人期になると
ジストニア・パーキンソニズム、歩行障害(小股歩行や freezing)、認知症を示し、認知症は比較的急に悪化
する。パーキンソニズムは L-dopa に反応するが、短期間で症状の日内変動やジスキネジアなどを示す。症
状の強弱は X 染色体不活化の偏りの程度、遺伝子変異部位により異なる可能性などが想定されているが、
結論はでていない。 殆どの症例は女性であり、男性症例は致死的である。
3. 特記すべき検査所見
(1)脳 MRI 画像:鉄沈着は淡蒼球と黒質にみられ、他の NBIA と異なり黒質>淡蒼球である。T1 で黒質~
大脳脚にかけて halo 状となる。脳梁は非薄化し、大脳と小脳は萎縮性である。
(2)神経病理像:淡蒼球と黒質に鉄沈着と神経細胞脱落を認める。synucleinopathy 像はなく、進行すると
大脳にびまん性に tauopathy 像が見られる。軸索スフェロイドを黒質、淡蒼球、延髄、橋、視床に認め
る。
一般検査所見に特異的所見はない。
4. 遺伝子診断

WDR45 遺伝子の病的変異を認める。
5. 鑑別疾患
ウィルソン Wilson 病、メンケス Menkes 病、αfucosidosis、Glutaric aciduria I、リーLeigh 脳症、神経セロイド
リポフスチン症(Neuronal ceroid lipofuscinosis)、ハンチントン Huntington 病、神経有棘赤血球症、βhexosaminidase A 欠損症、GM1-galactosidase 欠損症、ニーマン・ピック Niemann-Pick 病、小児期発症の
遺伝性小脳性運動失調、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、家族性痙性対麻痺 30 型、遺伝性

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