よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (38 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

各病型の診断基準について以下に示す。
<パントテン酸キナーゼ変異を伴う神経変性症 Pantothenate kinase-associated neurodegeneration:PKAN、別
名 NBIA 1>
1. 病因遺伝子と概要
パントテン酸キナーゼ2pantothenate kinase2:PANK2 遺伝子変異による疾患で、ジストニアを主症状とする。
脳内鉄沈着神経変性症の代表的疾患である。全経過は古典型で 15 年程度、非典型で 15~40 年とされる。
PANK2 は Coenzyme A 生合成関連疾患の律速段階に当たる酵素である。
(1)遺伝様式:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(遺伝子座 22q13、遺伝子 PKAN2、 遺伝子産物 PKAN
(Pantothenate kinase 2)、MIM ID #234200、 *606157)。
(2)発症年齢:古典型:小児期(多くは6歳以下)、非典型:小児期~青年期(多くは 10 歳以上)
(3)頻度:1~3/1,000,000
2. 臨床症状
(1)古典型:
75%の症例は古典型とされる。歩行障害、姿勢障害、巧緻障害で発症し、錐体外路症状、発達障害が
加わる。錐体外路症状の多くはジストニアで、筋強剛や舞踏運動がそれに続く。ジストニアの初発症状
は下肢であるが、脳神経領域、四肢に見られる。口部ジストニアにより咬舌を来すこともある。錐体路症
状も通常見られる。発症早期に網膜色素変性症、視神経萎縮が 2/3 の症例で合併する。症状は進行
性で発症から 10~15 年で歩行不能となることが多い。てんかん発作はまれである。
(2)非典型:
25%を占める非典型の症例では、発話障害や精神症状が目立ち、より緩徐に進行する。発話障害とし
ては 40%の症例で反復言語か構音障害が多い。その後ジストニアをみるが、古典型よりも程度は軽症
で、15~40 年程度で歩行不能となることが多い。すくみ足の頻度も高い。約 1/3 の症例で精神症状(衝
動性障害、強迫性障害が多い)か前頭側頭葉型認知症が見られる。症例によっては運動症状が明らか
でなく、精神症状で推移する場合もある。網膜色素変性症は通常合併しない。発症年齢が高くなるにつ
れ、パーキンソニズムが目立つ傾向となり、若年性パーキンソン病として治療されている症例もみられ
る。
(3)その他:
中間表現型と呼ばれる 10 歳代以前に発症するが進行が遅い型、10 歳代に発症し進行が速く 20 歳代
に歩行不能となる例などがある。その他 Tourette 症候群、純粋アキネジア、運動ニューロン疾患類似
の病態を呈する症例、若年発症のパーキンソニズムを示す症例などが報告されている。
HARP 症候群(hypoprebetalipoproteinemia、acanthocytosis、retinitis pigmentosa、pallidal
degeneration、OMIM 607236)も遺伝子変異が PANK2 に見られたことから PKAN に包含された。
3. 特記すべき検査所見
(1)脳 MRI 画像: eye-of-the tiger sign を認める。これは 1.5 テスラ以上の MRI の T2 強調画像で、強い低
輝度を示す淡蒼球内の内側領域に高輝度を認めることを指す。特異度の高い所見で有り、MRI 所見か
ら PKAN の診断に至る例が少なくないが、擬偽陽性例、陰性例もあることに留意する必要がある。画像
で eye-of-the tiger sign に類似の画像を呈する偽陽性例を来す疾患としては後述する NBIA3、
NBIA4、CO 中毒等が報告されている。

- 38-