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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (40 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
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<乳児神経軸索ジストロフィー(Infantile neuroaxonal dystrophy:INAD)、NBIA2、別名 PLA2G6 変異に伴う神経
変性症:calcium -independent phospholipase A2 group VI (PLA2G6) associated neurodegeneration: PLAN、国
際運動障害学会の表記では NBIA/DYT/PARK-PLA2G6>
1. 病因遺伝子と概要
脂質代謝関連酵素由来の脳内鉄沈着神経変性症で、病理学的に中枢神経系と末梢神経型にスフェロイド
がみられ、進行性に精神運動退行を示す。生前診断が可能。症例数が少ないため全経過は明確ではない
が NBIA2A で平均 9.4 年、NBIA2B で約 20 年とされる。
(1)遺伝様式:常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)(遺伝子座 22q13.1、原因遺伝子 PLA2G6(phospholipase
A2、group VI)が INAD の 79%の症例で同定された。ミスセンス変異が大半を占める。MIM ID
#256600、#610217、#603604)
(2)発症年齢:古典型:乳児期~幼児期(平均1歳歳)、非典型:小児期(平均 4.4 歳歳)
(3)頻度:1/1,000,000
2. 臨床症状
進行性の精神症状、低緊張、深部腱反射亢進、四肢麻痺を示す。
(1)古典型:NBIA2A
精神運動退行と体幹の低緊張、深部腱反射亢進、進行性の四肢麻痺を生後6か月から3年の間に示
す。多くの症例では次第に痙性四肢麻痺となるが、1/3 の症例では反射消失性の脱力のままである。
全例でジストニア、痙縮、球症状、小脳症状を認める。発症後5年くらいまで歩行可能であることが多
い。約半数で失調性のあるいは他の要因による歩行障害を示し、視神経症状(視神経萎縮、斜視、眼
振など)を認める。1/3 の症例ではてんかん発作を認める。平均死亡年齢は 9.4 歳である。
(2)非典型:NBIA2B
発症時期は古典型より遅いが多くは 10 歳前に発症。主症状は不安定歩行、失調性歩行障害である。
言語発達は遅れ、社会的な意思疎通はできない。視神経萎縮、眼振、痙攣発作は古典型と同様であ
るが、体幹の低緊張は見られない。
(3)Karak 症候群
臨床像として早期発症小脳失調、ジストニア、痙縮、知能低下があり、MRI で小脳萎縮、淡蒼球と黒質
に鉄沈着を認める症候群として報告されたが、PLA2G6 遺伝子変異(複合ヘテロ接合体)が同定され、
脳内鉄沈着神経変性症の一つとされている。
3. 特記すべき検査所見
(1)電気生理学的検査:脱神経所見、神経伝導速度低下は 1/3 に認める。脳波検査で速波を認める。
(2)MRI 画像検査:95%の症例で小脳萎縮、50%の症例で淡蒼球、黒質に鉄の沈着を認める。小脳のグリ
オーシスに対応して T2 強調画像で小脳の高輝度を認める。また、脳梁、大脳白質で異常を認める頻
度が高い。非典型:NBIA2B の MRI 像では小脳萎縮は 83%の症例に留まり、淡蒼球や黒質の鉄沈着
が目立つ。
(3)末梢神経生検:PLA2G6遺伝子変異陽性症例の 87%で、末梢神経生検組織において軸索スフェロイド
を認める。
4. 遺伝子診断

PLA2G6 の病的変異を認める。

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