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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
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資料1-2
120 遺伝性ジストニア
○ 概要
1.概要
ジストニアは運動障害の一つで、持続性の筋収縮に特徴づけられる異常運動あるいは姿勢の異常と随
意運動障害と定義される。一部の患者では、筋収縮の持続が短く不規則であったり、間歇的で律動的に観
察されることもある。ジストニアを一症候として示す疾患は多岐にわたるが、とくに、遺伝性があり、ジストニ
アを主症候とし、かつ他の神経変性疾患に属さない疾患群を遺伝性ジストニアと呼ぶ。遺伝性ジストニアは
DYT という接頭辞と番号の組み合わせからなるシンボルが与えられている(DYT1、DYT2、DYT3 など)が、
これらをまとめて「DYT シリーズ」と呼ぶ。ここでは DYT シリーズのうち原因遺伝子が同定されている病型に
ついてのみ扱う。
2.原因
DYT シリーズの原因として、20 の責任遺伝子が報告されている(2021 年 8 月時点)。遺伝形式としては、
常染色体顕性遺伝(優性遺伝)が多く、一部は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)、伴 X 連鎖性潜性遺伝(劣性
遺伝)をとる。
3.症状
骨格筋の持続性の筋収縮により、定型的な(パターンのある)肢位・姿勢の異常や不随意運動を生じ、そ
の結果随意運動が障害される。ジストニアは、特定の動作により惹起される傾向があり(動作特異性)、ま
た、特定の感覚刺激によりしばしば症状が軽快する(感覚トリック)。
DYT シリーズの各病型は、随伴症状に基づいて、孤立性(isolated:ジストニアのみを示す)、複合性
(combined:ミオクローヌスなどの他の運動障害を合併)、複雑性(complex:精神発達遅滞などの運動障害
以外の症状を合併)に分類される。複合性ジストニアには、症状が発作的に出現するもの(発作性ジストニ
ア)や L-dopa 反応性を認めるもの(L-dopa 反応性ジストニア)、顕著なパーキンソニズムの合併を認めるも
の(ジストニア・パーキンソニズム)など、ユニークな臨床症状を示す病型が含まれる。また、ジストニアは身
体における分布から、局所性、分節性、多巣性、片側性、全身性に分類される。発症年齢に関して、多くは
遅くとも 20 歳代までに発症するが、主に成人期に発症する病型もある。なお、DYT シリーズの病型鑑別に
あたり、病型間での症状のオーバーラップが大きな問題となるが(特に孤立性ジストニア)、症状の分布と発
症年齢が鑑別の一助となる。DYT シリーズはしばしば進行性の経過をたどり、また発症年齢が若いほど罹
患部位が広範化する傾向がある。
DYT シリーズでは、同じ病的変異を有する家系間あるいは家系内においても症状が大きく異なる場合が
ある。また、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとる病型のほとんどで不完全浸透であることが示されて
おり、留意すべきである。
DYT シリーズの病型診断において必須となる臨床検査はないが、一部の病型では頭部 MRI や髄液検査
で異常を認め、診断の参考となる。

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