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資料 1 - 2 前回の議論を受けて修正した個票(疾病名及び疾病の対象範囲の変更に ついて研究班から情報提供のあった疾病) (34 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31825.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第51回 3/22)《厚生労働省》
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121 脳内鉄沈着神経変性症
○ 概要
1.概要
脳内鉄沈着神経変性症は、 OMIM の NBIA:Neurodegeneration with brain iron accumulation シリーズと
されてる 6 疾患とその他の 4 疾患の現時点では合計 10 疾患の総称で、中枢神経系に鉄が沈着し、脳機能
障害を呈する疾患群である。鉄の沈着部位により若干症状に差異はあるが一般に進行性の精神・神経症
状と随意運動障害、ジストニアを中心とする不随意運動を中核症状とするものが多い。発症年齢は多くは
小児期であるが、成人発症の病型もある。
一般に、予後は不良であり、原因療法はなく対症療法に留まる。一部の疾患では脳深部刺激療法もなさ
れ、症状の緩和が報告されている。
2.原因
脳内鉄沈着神経変性症では全ての病因遺伝子が同定されている。多くは常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)
様式で小児期発症であるが、神経フェリチン症は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)様式で成人期発症、成人
期における小児期発症の神経変性を伴う停滞性脳症(SENDA)もしくはβ-プロペラ足場タンパク変異に伴
う神経変性症(BPAN):NBIA5 は伴 X 連鎖性顕性遺伝(優性遺伝)様式で20-30歳代に発症することが
多い。原因遺伝子が同定され、遺伝子産物が既知となっていても必ずしも病態のすべての原因とならない
ことも多いため、脳内鉄沈着神経変性症の疾患名は○○に伴う神経変性症と命名されている(例:
pantothenate kinase-associated neurodegeneration)。
3.症状
脳内鉄沈着神経変性症の臨床症状は精神症状として精神運動発達遅滞、退行、認知障害、神経症状と
しては歩行障害などの随意運動障害、ジストニアを中心とする不随意運動の発現を中核症状とする。発症
年齢は多くは小児期であるが、成人発症の病型もある。病型により特徴的な症状として、乳児神経軸索ジ
ストロフィー症(もしくは PLA2G6 変異に伴う神経変性症(PLAN)、NBIA2a、 2b)では小脳運動失調症状、神
経フェリチン症(NBIA3)では舞踏運動などがある。遺伝性ジストニアと同様に、同一遺伝子変異による病型
であっても、家系間、家系内で病像が異なることがあり、留意すべきである。検査所見としては、脳内鉄沈
着神経変性症すべての病型で、MRI で基底核への鉄沈着像を認める。その他検査所見では、無セルロプ
ラ ス ミ ン 血 症 ( aceruloplasminemia ) で は セ ル ロ プ ラ ス ミ ン 欠 損 、 糖 尿 病 な ど を 、 神 経 フ ェ リ チ ン 症
(neuroferritinopathy)ではフェリチン値低値を認める。脳内鉄沈着神経変性症 NBIA に属する疾患の各病
型の特徴と画像所見の詳細については各論で付記する。
4.治療法
根治療法は確立されていない。対症療法としては、薬物治療(抗コリン剤、抗てんかん薬、L-dopa 製剤な
ど)やボツリヌス毒素の局部注射療法、定位脳手術(後腹側淡蒼球凝固術、視床凝固術、脳深部刺激療法)
がある。

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