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資料1-2-1診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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2 筋萎縮性側索硬化症
○ 概要
1.概要
主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニ
ューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、
人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。
2.原因
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)のうち約5%は家族歴を伴い、家族性筋萎縮
性側索硬化症(家族性 ALS)とよばれる。家族性 ALS の約2割では、フリーラジカルを処理する酵素の遺伝
子の変異が報告されている(ALS1)。その他にも、原因遺伝子が次々に報告されている。孤発性 ALS の病
態としては、フリーラジカルの関与やグルタミン酸毒性により神経障害をきたすという仮説が有力である。ま
た、孤発性 ALS の多数症例を用いてゲノムワイドに疾患感受性遺伝子を探索する研究も進行中である。
3.症状
ALS は発症様式により、(1)上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す上肢型(普通型古典
型)、(2)構音障害、嚥下障害といった球症状麻痺が主体となる球型(進行性球麻痺)、(3)下肢から発症し、
下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る下肢型(偽多発神
経炎型)の3型に分けられることがある。これ以外にも、呼吸筋麻痺が初期から前景となる例や体幹筋障害
が主体となる例、認知症を伴う例もあり多様性がみられる。
4.治療法
欧米における治験で、グルタミン酸拮抗剤リルゾール(商品名 リルテック)が生存期間を僅かであるが
有意に延長させることが明らかにされ、1999 年より本邦でも「ALS の病勢進展の抑制」を効能とし認可され
た。リルゾールさらに 2015 年、本邦発のフリーラジカル消去薬エダラボン(商品名 ラジカット注、もしくはラ
ジカット点滴静注バッグ)が「ALS における機能障害の進行抑制」を効能効果として承認された。治験で ALS
機能評価尺度の低下を遅延できたのは、診断確度が高く、日常生活が自立し、呼吸筋障害のない発症 2
年以内の早期・軽症例であった。そのため、進行例への適応は慎重に判断すべきとされ、製造販売後調査
も実施されている。これら薬剤の他にも、近年、病勢の進行を遅らせる目的で数種類複数の薬剤が開発さ
れ、治験進行中実施中ないし治験計画中である。
筋力低下や痙縮に伴い、様々な二次的症状が出現する。不安や抑うつには安定剤や抗うつ薬を用い、
痙縮が著しい場合は抗痙縮剤を用いる。筋力低下に伴う痛みに対しては鎮痛剤や湿布薬を使用し、関節
拘縮の予防には定期的なリハビリリハビリテーションが必要である。呼吸障害に対しては、非侵襲的な呼吸
補助と気管切開による侵襲的な呼吸補助がある。嚥下障害の進行したある場合、胃瘻形成術、経鼻経管
だけでなく、体重減少がある場合には、体重維持による予後改善を目的に胃瘻造設術も含めた栄養、経静
脈栄養療法を早期から考慮する必要がある。また、進行に伴いコミュニケーション手段を考慮することが重
要であり、症状に応じた手段を評価し、新たなコミュニケーション手段の習得を早めに行うことが大切である。
体や目の動きが一部でも残存していれば、適切なコンピューター・マルチメディア、意思伝達装置及び入力

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