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資料1-2-1診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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<診断基準>
1.主要項目
(1)40 歳以降で発症することが多く、また緩徐進行性である。
(2)主要症候
①垂直性核上性眼球運動障害(初期には垂直性衝動性眼球運動の緩徐化であるが、進行するにつれ上
下方向への注視麻痺が顕著になってくる。)
②発症早期(おおむね1~2年以内)から姿勢の不安定さや易転倒性(すくみ足、立直り反射障害、突進現
象)が目立つ。
③無動あるいは筋強剛があり、四肢末梢よりも体幹部や頸部に目立つ。
(3) 除外項目
①レボドパが著効(パーキンソン病の除外)
②初期から高度の自律神経障害の存在(多系統萎縮症の除外)
③顕著な多発ニューロパチー(末梢神経障害による運動障害や眼球運動障害の除外)
④肢節運動失行、皮質性感覚障害、他人の手徴候、神経症状の著しい左右差の存在(大脳皮質基底核変
性症の除外)
⑤脳血管障害、脳炎、外傷など明らかな原因による疾患
(4) 診断のカテゴリー
次の3条件を満たすものを進行性核上性麻痺と診断する。
①(1)を満たす。
②(2)の2項目以上がある。
③(3)を満たす(他の疾患を除外できる。)。
2.参考事項
進行性核上性麻痺は、核上性注視障害、姿勢反射障害による易転側性が目立つパーキンソニズム及び認
知症を主症状とする慢性進行性の神経変性疾患である。神経病理学的には、中脳と大脳基底核に萎縮、神
経細胞脱落、神経原線維変化、グリア細胞内封入体が出現する。
初発症状はパーキンソン病に似るが、安静時振戦はまれで、歩行時の易転倒性、すくみ足、姿勢反射障害
が目立つ。進行するにつれて、頸部の後屈と反り返った姿勢、垂直性核上性眼球運動障害(初期には眼球運
動の随意的上下方向運動が遅くなり、ついには下方視ができなくなる)、構音障害や嚥下障害、想起障害と思
考の緩慢を特徴とする認知症や注意力低下が出現する。徐々に歩行不能、立位保持不能となって、寝たきり
になる。
その他の症候として、進行性の構音障害や嚥下障害、前頭葉性の進行性認知障害(思考の緩慢化、想起
障害、意欲低下などを特徴とする。)もみられる。
画像所見(CT あるいは MRI)として、進行例では、中脳被蓋部の萎縮、脳幹部の萎縮、第三脳室の拡大を
認めることが多い。 ドパミントランスポーターシンチグラフィー(DAT Scan)では、線条体の集積が低下するこ
とが多い。
抗パーキンソン病薬への反応は不良である。一時的に抗うつ薬やドロキシドパで症状が改善することがある。

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