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資料1-2-1診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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7 大脳皮質基底核変性症
○ 概要
1.概要
大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)は、大脳皮質と皮質下神経核(特に、黒質と淡
蒼球)の神経細胞が脱落し、神経細胞及びグリア細胞内に異常リン酸化タウが蓄積する疾患である。典型
的には、(1)中年期以降に発症し、緩徐に進行する神経変性疾患で、(2)大脳皮質徴候として肢節運動失行、
観念運動失行、皮質性感覚障害、把握反応、他人の手徴候などが現れ、及び(3)錐体外路徴候として無動・
筋強剛やジストニア、ミオクローヌスが出現し、(4)これらの神経症候に顕著な左右差がみられる疾患である。
しかし、剖検例の集積により、左右差のない例、認知症や失語が前景にたつ例、進行性核上性麻痺の臨床
症候を呈した例など非典型例が数多く報告され、CBD の臨床像は極めて多彩であることが明らかになった。
2.原因
現在不明である。家族性発症例の報告はあるがまれである。神経細胞及びグリア細胞内に広範に異常リ
ン酸化タウが蓄積し、タウオパチー(4 リピートタウオパチー)に含められている。
3.症状
神経学的には左右差のある錐体外路徴候と大脳皮質の症候を主徴とする。典型例では、一側上肢の「ぎ
こちなさ」で発症し、非対称性の筋強剛と失行が進行する。錐体外路徴候の中では筋強剛が最も頻度が高
い。振戦はパーキンソン病と異なり、6~8Hz、不規則で jerky であるという特徴がある。四肢のミオクローヌ
スおよびジストニアの出現頻度は半数以下である。進行すると姿勢保持障害や転倒が出現する。大脳皮質
の徴候として、肢節運動失行、構成失行、失語、半側空間無視、他人の手徴候、皮質性感覚障害、把握反
射、認知機能障害、行動異常などがみられる。全般性認知機能障害は大脳皮質徴候の中で最も頻度が高
い。構音障害、嚥下障害は進行すると出現するが、四肢の障害に比べ軽度である。眼球運動障害・錐体路
徴候もみられる。
画像や検査所見にも左右差がみられるのが特徴で、CT/MRI は初期には正常であるが、進行とともに非
対称性の大脳萎縮(前頭葉、頭頂葉)が認められる。SPECT で大脳の集積低下、脳波では症候優位側と対
側優位に徐波化がみられる。
4.治療法
根本療法はなく、全て対症療法である。治療の目標症候は、無動・筋強剛、ジストニア、ミオクローヌスで
ある。無動・筋強剛に対してレボドパが用いられ、一部の症例に有効である。効果の程度は軽度が多いが、
ときには中等度有効例もある。しかし、進行抑制の効果はなく、病態の進行とともに効果を失う。ジストニアに
対して抗コリン薬、筋弛緩薬が試みられるが、有効性は 10%以下である。ボツリヌス注射は、ジストニアや開
眼困難などの眼瞼の症状に有効である。ミオクローヌスに対してクロナゼパムが有効であるが、眠気、ふら
つきの副作用のために長期使用が困難なことが多い。認知症に対しては、ドネペジルを含めて有効とする報
告がないが、背景病理にアルツハイマー病が含まれている可能性もあり試みても良い。

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