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資料1-2-1診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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3 脊髄性筋萎縮症
○ 概要
1.概要
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は、脊髄の前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋
力低下を特徴とする下位運動ニューロン病である。上位運動ニューロン徴候は伴わない。体幹、四肢の近
位部優位の筋力低下、筋萎縮を示す。発症年齢、臨床経過に基づき、I 型、II 型、III 型、IV 型に分類される。
I、II 型の 95%に SMN1 遺伝子欠失が認められ、III 型の約半数、IV 型の1~2割において SMN1遺伝子変
異を認める。SMN1 遺伝子に変異がなく早期に呼吸障害を来す I 型において、IGHMBP2 の遺伝子変異を認
めることがある。
2.原因
原因遺伝子は、1995 年、SMN1 遺伝子として同定された。I、II 型の SMA においては、SMN1 遺伝子の
欠失の割合は9割を超えることが明らかになっており、遺伝子診断も可能である。また、SMN1 遺伝子の近
傍には、NAIP 遺伝子、SERF1 遺伝子などが存在し、それらは SMA の臨床症状を修飾するといわれている。
早期に重症な呼吸障害を示す I 型の一部において、IGHMBP2 の遺伝子変異を示す例がある。III、IV 型に
おいては、SMN1 遺伝子変異が同定されない例も多く、他の原因も考えられている。
3.症状
I 型:重症型、急性乳児型、ウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffmann)病
発症は出生直後から生後6か月まで。フロッピーインファントの状態を呈する。肋間筋に対して横隔膜の
筋力が維持されているため吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥凹する奇異呼吸を示す。定頸の獲得がなく、
支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全を伴う。舌の線維束性収縮がみられ
る。深部腱反射は消失、上肢の末梢神経の障害によって、手の尺側偏位と手首が柔らかく屈曲する形の
wrist drop が認められる。人工呼吸管理を行わない場合、死亡年齢は平均6~9か月である。
II 型:中間型、慢性乳児型、デュボビッツ(Dubowitz)病
発症は1歳6か月まで。支えなしの起立、歩行ができず、座位保持が可能である。舌の線維束性収縮、
手指の振戦がみられる。腱反射の減弱または消失。次第に側彎が著明になる。II 型のうち、より重症な
症例は呼吸器感染に伴って、呼吸不全を示すことがある。
III 型:軽症型、慢性型、クーゲルベルグ・ウェランダー(Kugelberg-Welander)病
発症は1歳6か月以降。自立歩行を獲得するが、次第に転びやすい、歩けない、立てないという症状がで
てくる。後に、上肢の挙上も困難になる。歩行不可能になった時期が思春期前の場合には、II 型と同様に
側弯などの脊柱変形が顕著となりやすい。
IV 型:成人期以降の発症の SMA を IV 型とする。
小児期発症の I、II、III 型と同様の SMN1 遺伝子変異による SMA もある。一方、孤発性で成人から老年
にかけて発症し、緩徐進行性で、上肢遠位に始まる筋萎縮、筋力低下、筋線維束性収縮、腱反射低下を
示す場合もある。これらの症状は徐々に全身に拡がり、運動機能が低下する。また、四肢の近位筋、特

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