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全国自治体病院開設者協議会 令和7年度5月20日提出 要望書 (2 ページ)

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出典情報 全国自治体病院協議会 定例記者会見(5/22)《全国自治体病院協議会》
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はじめに
全国の自治体病院は、都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政や、医療
機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正・継続的に提供し、住民の
生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献することを使命としている。救急、小児・
周産期、感染症、各種疾患やがん治療等の様々な高度医療のみならず、医療過疎地であ
る山間へき地・離島において身近な医療を展開するなど、民間では採算性の関係で対応
が難しい医療も担い、地域医療の最後の砦としてその役割は益々高まってきている。
しかしながら現状では、世界的紛争や不安定な為替相場の影響などで電気・ガスをはじ
めとするエネルギー価格や入院患者の食材費、医療材料費などで過去に例を見ない高騰
に見舞われている。
また、感染症対応や医療安全、働き方改革、処遇改善、医療 DX の推進に向けて専門職
種の人材不足や人件費の高騰により財源不足が顕著となっており、医療提供体制の維
持・改善が益々厳しくなってきている。
2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革として取りまとめられた新たな地
域医療構想や医師偏在対策については、今後、国がガイドラインを策定の上、都道府県
が具体的なプランを策定することになる。これまでは効率的、効果的な医療体制構築に
主眼が置かれてきたが、新型コロナウイルス感染症を契機として、こうした改革方針と
は別に、平時より余力を持ち、危機に対して柔軟に適応、管理できる医療体制の構築が
必要であることが明らかとなった。特に医療提供体制の構築にあたっては、地域ごとに
医療の違いがあることから、ガイドラインの策定にあたっては、医療機関ごとの役割や
機能分担などの協議においては地域に即した住民目線に立ったものとなるようにすべ
きである。
新興感染症への対応を含めた地域の医療提供体制の確保や、少子高齢化社会にあって医
師を始めとする医療人材の確保・偏在問題、医療技術の急速な進展と財源確保等の課題
に対しては、地方自治体や病院の取組だけで改善することは困難であり、国家レベルで
の実効性ある施策が不可欠である。効率性・経済性を追求する一方、様々な事態に対応
可能な余力を有する合理的な医療・介護体制を確保し、国民、医療関係者がともに納得
できる施策を進めるよう、強く要望する。
最後に、昨年発生した能登半島地震や豪雨により、石川県能登地方を中心に多くの医療
機関が機能不全に陥った。震災後、いまだ通常診療の提供にも影響を与えている状況で
ある。地域住民と歩調を合わせた地域医療の早期復旧のため、最後の砦でありながら被
災された自治体病院の一日も早い復興が待望されており、十分な支援を要望する。

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