よむ、つかう、まなぶ。
予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分) (66 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2023/sy0506/0506d.html |
出典情報 | 予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分)(6/30)《財務省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
3/3
総
調査事案名
括
調
査
票
(21)水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業等
③調査結果及びその分析
②調査の視点
2.遊漁船への
転用状況
導入漁船の遊漁
船転用状況を確実
に把握できている
か。
3.資源管理の
取組状況
本リース事業は、
資源管理を行う漁業
者向けの支援となっ
ているが、水産庁は、
各漁業者が行う資源
管理の取組を適切に
把握しているか。
④今後の改善点・
検討の方向性
2.遊漁船への転用状況
○ 本リース事業は、漁労所得の向上を目指すものであり、遊漁船への転用は、事業開始時に事前承認を受けた上で、
毎年の遊漁船収入等が漁労収入を超えないことを要件としている。
○ 水産庁調べによると令和4年度現在、遊漁船隻数は約1.4万隻あり、遊漁船業者(約1.3万人)のうち72%が漁協組合
員であることから、漁業者が営む遊漁船は約1万隻と見込まれ、全国の漁船(約6万隻)のうち2割程度が遊漁船と
しても登録されていると推測される。こうした状況の中、令和3年度会計検査院報告において、本事業で導入した漁
船を不当に遊漁船に転用していた事例が指摘されており、遊漁船への転用状況について課題が生じている状況にある。
○ 本調査において回答のあった337漁業者について、遊漁船への転用状況を確認したところ、8漁業者(2.3%)から遊
漁船収入を得ているとの回答があったものの、事業計画に記載し事前承認を受けた者は1漁業者のみであり、7漁業
者については目的外使用となっていた。
また、8漁業者のうち6漁業者については遊漁船収入等が漁労収入以内であったが、2漁業者については、遊漁船
収入を漁労収入と切り分けて把握しておらず、基準内か否かを判断できなかった。
○ 以上のように、今回調査においては、本リース事業利用者による遊漁船への転用状況(遊漁船として転用している
か否か、転用している場合にその使用割合がどうなっているのか)について、水産庁は適切に把握していないことが
確認された。また、本調査においては、遊漁船への転用割合は2.3%にとどまったが、漁船の遊漁船への登録状況(2
割程度)を踏まえると実際の転用割合は更に大きいと推測され、遊漁船の使用状況についての適切な確認体制を構築
するべき。
3.資源管理の取組状況
【表3】資源管理計画の状況
○ 我が国水産業では、漁獲量の減少が続いており、その要因としては様々な要
継続
強化
小計
因が考えられるものの、適切な資源管理を行い水産資源の維持・増加を図って
減少
564
101
665
いくことが重要である。各地域における資源管理の取組として、「資源管理計
横ばい
928
102
1,030
画」を策定し、各地の実態に即した自主的な管理が行われている。
○ 水産庁によると、全国で作成されている各地域の「資源管理計画」のうち、
増加
544
59
603
665件において資源量が「減少」と評価しているが、564件は資源管理計画の検
小計
2,036
262
2,298
証結果を「継続」と位置付けており、資源管理を強化する計画になっていない。
(注)各計画作成者は、5年に一度の自己評価・検
各地域における資源管理については、科学的根拠に基づいて適切に資源管理の 証の際に、前回計画から資源管理の取組を追加的
強化を行っていく必要がある。【表3】
に措置する場合は「強化」、現行の取組を持続さ
○ こうした中、本リース事業では、漁獲量の増加等を通じて漁労所得の向上を せる場合は「継続」と位置付けている。
目指すものであるが、同時に本リース事業利用者は資源管理に係る取組を行う
ことが要件となっている。
○ 337漁業者の事業計画について、資源管理の取組に係る記載状況を確認したと【表4】事業計画の記載内容
ころ、約4割(141漁業者)が具体的な取組内容を記載しておらず、事業実施中
件数
資源管理の具体的取組
割合
の漁業者が適切に資源管理に取り組んでいるか確認できなかった。【表4】
(n=337)
また、337漁業者のうち養殖業者を除いた212漁業者について、資源管理計画
記載なし
141
41.8%
の状況を見ると約12%の漁業者において、資源が「減少」と評価された地域の魚
種を対象としていた。
記載あり
196
58.2%
○ 収益増加のため漁獲量の増加等を計画する漁業者については、特に資源管理
の確実な履行が求められているにもかかわらず、適切な資源管理に向けその
チェック機能やフォローアップ状況が十分とは言い難い。
2.遊漁船への転用状況
導入漁船の目的外使用を
防ぐため、事前承認の徹底
とともに遊漁船収入を毎年
報告させるべき。
その上で、例えば、遊漁
船収入等が事業開始時の目
標漁労収入を継続的に超え
ているなど悪質と認められ
るものについては補助金の
返還を求めるべき。
3.資源管理の取組状況
資源管理の着実な推進の
ため、
・事業計画記載の資源管理
の取組について、毎年その
実績を報告させるとともに、
科学的な根拠に基づいた地
域の資源管理の取組を要件
化することも検討すべき。
・資源管理を行っていない
漁業者に対しては、基金管
理団体等による指導、助言
を強化し、それでもなお、
改善が認められない場合に
は、補助金の返還などを求
めていくべき。
なお、事業計画において、
事業目標(漁労所得の10%向
上)に向けた取組を具体的
かつ定量的に記載すること
も必要である。
64
総
調査事案名
括
調
査
票
(21)水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業等
③調査結果及びその分析
②調査の視点
2.遊漁船への
転用状況
導入漁船の遊漁
船転用状況を確実
に把握できている
か。
3.資源管理の
取組状況
本リース事業は、
資源管理を行う漁業
者向けの支援となっ
ているが、水産庁は、
各漁業者が行う資源
管理の取組を適切に
把握しているか。
④今後の改善点・
検討の方向性
2.遊漁船への転用状況
○ 本リース事業は、漁労所得の向上を目指すものであり、遊漁船への転用は、事業開始時に事前承認を受けた上で、
毎年の遊漁船収入等が漁労収入を超えないことを要件としている。
○ 水産庁調べによると令和4年度現在、遊漁船隻数は約1.4万隻あり、遊漁船業者(約1.3万人)のうち72%が漁協組合
員であることから、漁業者が営む遊漁船は約1万隻と見込まれ、全国の漁船(約6万隻)のうち2割程度が遊漁船と
しても登録されていると推測される。こうした状況の中、令和3年度会計検査院報告において、本事業で導入した漁
船を不当に遊漁船に転用していた事例が指摘されており、遊漁船への転用状況について課題が生じている状況にある。
○ 本調査において回答のあった337漁業者について、遊漁船への転用状況を確認したところ、8漁業者(2.3%)から遊
漁船収入を得ているとの回答があったものの、事業計画に記載し事前承認を受けた者は1漁業者のみであり、7漁業
者については目的外使用となっていた。
また、8漁業者のうち6漁業者については遊漁船収入等が漁労収入以内であったが、2漁業者については、遊漁船
収入を漁労収入と切り分けて把握しておらず、基準内か否かを判断できなかった。
○ 以上のように、今回調査においては、本リース事業利用者による遊漁船への転用状況(遊漁船として転用している
か否か、転用している場合にその使用割合がどうなっているのか)について、水産庁は適切に把握していないことが
確認された。また、本調査においては、遊漁船への転用割合は2.3%にとどまったが、漁船の遊漁船への登録状況(2
割程度)を踏まえると実際の転用割合は更に大きいと推測され、遊漁船の使用状況についての適切な確認体制を構築
するべき。
3.資源管理の取組状況
【表3】資源管理計画の状況
○ 我が国水産業では、漁獲量の減少が続いており、その要因としては様々な要
継続
強化
小計
因が考えられるものの、適切な資源管理を行い水産資源の維持・増加を図って
減少
564
101
665
いくことが重要である。各地域における資源管理の取組として、「資源管理計
横ばい
928
102
1,030
画」を策定し、各地の実態に即した自主的な管理が行われている。
○ 水産庁によると、全国で作成されている各地域の「資源管理計画」のうち、
増加
544
59
603
665件において資源量が「減少」と評価しているが、564件は資源管理計画の検
小計
2,036
262
2,298
証結果を「継続」と位置付けており、資源管理を強化する計画になっていない。
(注)各計画作成者は、5年に一度の自己評価・検
各地域における資源管理については、科学的根拠に基づいて適切に資源管理の 証の際に、前回計画から資源管理の取組を追加的
強化を行っていく必要がある。【表3】
に措置する場合は「強化」、現行の取組を持続さ
○ こうした中、本リース事業では、漁獲量の増加等を通じて漁労所得の向上を せる場合は「継続」と位置付けている。
目指すものであるが、同時に本リース事業利用者は資源管理に係る取組を行う
ことが要件となっている。
○ 337漁業者の事業計画について、資源管理の取組に係る記載状況を確認したと【表4】事業計画の記載内容
ころ、約4割(141漁業者)が具体的な取組内容を記載しておらず、事業実施中
件数
資源管理の具体的取組
割合
の漁業者が適切に資源管理に取り組んでいるか確認できなかった。【表4】
(n=337)
また、337漁業者のうち養殖業者を除いた212漁業者について、資源管理計画
記載なし
141
41.8%
の状況を見ると約12%の漁業者において、資源が「減少」と評価された地域の魚
種を対象としていた。
記載あり
196
58.2%
○ 収益増加のため漁獲量の増加等を計画する漁業者については、特に資源管理
の確実な履行が求められているにもかかわらず、適切な資源管理に向けその
チェック機能やフォローアップ状況が十分とは言い難い。
2.遊漁船への転用状況
導入漁船の目的外使用を
防ぐため、事前承認の徹底
とともに遊漁船収入を毎年
報告させるべき。
その上で、例えば、遊漁
船収入等が事業開始時の目
標漁労収入を継続的に超え
ているなど悪質と認められ
るものについては補助金の
返還を求めるべき。
3.資源管理の取組状況
資源管理の着実な推進の
ため、
・事業計画記載の資源管理
の取組について、毎年その
実績を報告させるとともに、
科学的な根拠に基づいた地
域の資源管理の取組を要件
化することも検討すべき。
・資源管理を行っていない
漁業者に対しては、基金管
理団体等による指導、助言
を強化し、それでもなお、
改善が認められない場合に
は、補助金の返還などを求
めていくべき。
なお、事業計画において、
事業目標(漁労所得の10%向
上)に向けた取組を具体的
かつ定量的に記載すること
も必要である。
64