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予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分) (42 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2023/sy0506/0506d.html |
出典情報 | 予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分)(6/30)《財務省》 |
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3/3
総
調査事案名
括
調
査
票
(14)生活困窮者自立相談支援事業等
④今後の改善点・検討の方向性
③調査結果及びその分析
2.補助基準額の設定について
補助金等の配分に当たっては、人口規
模を基本とした基準を改め、実績に応じ
た配分に重点を置くべき。その際、事業
を通じた増収者数や就労者数といったア
ウトカム指標の活用も検討すべき。
特に小規模自治体における実施に当た
っては、複数の自治体による共同実施や
都道府県を中心とした広域実施を基本と
して推進していくべき。
また、今後、就労準備支援事業及び家
計改善支援事業の必須化を検討するに当
たっては、需要の動向に応じた多様な運
営体制を可能とすることにより、自治体
に対し不要な負担を強いることのないよ
うにすべき。
自立相談支援事業等の国庫補助は、人口規模に応じた基本基準額をベースに、事業の実施状況や地域の特
性を考慮した加算がなされている【図2】。
自立相談支援事業の人口10万人当たりの事業費と受付件数を算出すると、事業費は人口規模の増加に伴っ
て減少する一方、受付件数は人口規模の増加に伴い増加しており、特に小規模自治体において相談需要に見
合わない事業運営となっている可能性がある【図3】。また、相談実績が全くない自治体に対しても補助金
等が支出されているケースがあった【表2】。
現行の人口を基本とする補助体系では、各地域の相談需要に応じた対応が困難であるため、実績に応じた
標準的な基準額の設定を行うなどの見直しが必要ではないか。その際、小規模自治体については、広域実施
も含めた基準額を示すことで、地域の実情に応じた柔軟な人員配置を行うことも可能になるのではないか。
また、各加算項目については、受付件数の増加など事業の実施状況(アウトプット)によるものとなって
いるが、生活困窮者自立支援制度の趣旨に鑑みれば、例えば、支援を通じた増収者数や就労者数など事業の
成果(アウトカム)を評価する仕組みとすべきではないか。
なお、本事業の評価の在り方については、総務省行政評価局からも指摘を受けており、効果的な補助金等
の活用の観点から、早急に対応すべきではないか【参考7】。
【図2】自立相談支援事業における現行の補助体系
基準額(人口規模別)
(基準額)※37段階
300万人以上
:2億5千万円
100万人~110万人:1億1千万円
10万人~15万人 :1850万円 等
加算
(基準額の20~60%)
(加算事由)
①生活保護率が高い
②支援実績が高い
③過疎地域
【表2】相談実績がない自治体に対して補助金等を交付している例
【図3】自立相談支援事業における人口規模別の人口10万人当たりの事
業費と受付件数(n=566)
(千円)
50,000
3,750千円
<就労準備支援事業>
B市(10万人未満)
4,000千円
C市(10万人未満)
4,033千円
事業費
40,000
30,000
<自立相談支援事業>
A町(2万人未満)
(件)
700
600
受付件数
2,406千円
E市(50万人未満)
2,397千円
500
20,000
400
10,000
300
0
200
<家計改善支援事業>
D市(10万人未満)
【参考7】「生活困窮者の自立支援対策に関する行
政評価・監視結果報告書」(令和4年4月総務省行
政評価局)(抄)
(注)委託のみによる実施分のみを抽出
(出所)厚生労働省保有データを基に作成
【所見】
したがって、厚生労働省は、福祉事務所設置
自治体が自らの事業を適切に評価し、その結果
を踏まえて必要な運用の見直しにつなげられる
よう、評価の方法を実例とともに具体的に提示
する必要がある。
また、生活困窮者自立支援制度全体の効果に
ついて、制度の趣旨・目的に照らし、生活保護
制度などとの関連も考慮した分析及び評価を行
い、その結果を福祉事務所設置自治体での評価
にも役立つようフィードバックする必要がある。
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総
調査事案名
括
調
査
票
(14)生活困窮者自立相談支援事業等
④今後の改善点・検討の方向性
③調査結果及びその分析
2.補助基準額の設定について
補助金等の配分に当たっては、人口規
模を基本とした基準を改め、実績に応じ
た配分に重点を置くべき。その際、事業
を通じた増収者数や就労者数といったア
ウトカム指標の活用も検討すべき。
特に小規模自治体における実施に当た
っては、複数の自治体による共同実施や
都道府県を中心とした広域実施を基本と
して推進していくべき。
また、今後、就労準備支援事業及び家
計改善支援事業の必須化を検討するに当
たっては、需要の動向に応じた多様な運
営体制を可能とすることにより、自治体
に対し不要な負担を強いることのないよ
うにすべき。
自立相談支援事業等の国庫補助は、人口規模に応じた基本基準額をベースに、事業の実施状況や地域の特
性を考慮した加算がなされている【図2】。
自立相談支援事業の人口10万人当たりの事業費と受付件数を算出すると、事業費は人口規模の増加に伴っ
て減少する一方、受付件数は人口規模の増加に伴い増加しており、特に小規模自治体において相談需要に見
合わない事業運営となっている可能性がある【図3】。また、相談実績が全くない自治体に対しても補助金
等が支出されているケースがあった【表2】。
現行の人口を基本とする補助体系では、各地域の相談需要に応じた対応が困難であるため、実績に応じた
標準的な基準額の設定を行うなどの見直しが必要ではないか。その際、小規模自治体については、広域実施
も含めた基準額を示すことで、地域の実情に応じた柔軟な人員配置を行うことも可能になるのではないか。
また、各加算項目については、受付件数の増加など事業の実施状況(アウトプット)によるものとなって
いるが、生活困窮者自立支援制度の趣旨に鑑みれば、例えば、支援を通じた増収者数や就労者数など事業の
成果(アウトカム)を評価する仕組みとすべきではないか。
なお、本事業の評価の在り方については、総務省行政評価局からも指摘を受けており、効果的な補助金等
の活用の観点から、早急に対応すべきではないか【参考7】。
【図2】自立相談支援事業における現行の補助体系
基準額(人口規模別)
(基準額)※37段階
300万人以上
:2億5千万円
100万人~110万人:1億1千万円
10万人~15万人 :1850万円 等
加算
(基準額の20~60%)
(加算事由)
①生活保護率が高い
②支援実績が高い
③過疎地域
【表2】相談実績がない自治体に対して補助金等を交付している例
【図3】自立相談支援事業における人口規模別の人口10万人当たりの事
業費と受付件数(n=566)
(千円)
50,000
3,750千円
<就労準備支援事業>
B市(10万人未満)
4,000千円
C市(10万人未満)
4,033千円
事業費
40,000
30,000
<自立相談支援事業>
A町(2万人未満)
(件)
700
600
受付件数
2,406千円
E市(50万人未満)
2,397千円
500
20,000
400
10,000
300
0
200
<家計改善支援事業>
D市(10万人未満)
【参考7】「生活困窮者の自立支援対策に関する行
政評価・監視結果報告書」(令和4年4月総務省行
政評価局)(抄)
(注)委託のみによる実施分のみを抽出
(出所)厚生労働省保有データを基に作成
【所見】
したがって、厚生労働省は、福祉事務所設置
自治体が自らの事業を適切に評価し、その結果
を踏まえて必要な運用の見直しにつなげられる
よう、評価の方法を実例とともに具体的に提示
する必要がある。
また、生活困窮者自立支援制度全体の効果に
ついて、制度の趣旨・目的に照らし、生活保護
制度などとの関連も考慮した分析及び評価を行
い、その結果を福祉事務所設置自治体での評価
にも役立つようフィードバックする必要がある。
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