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予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分) (12 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2023/sy0506/0506d.html
出典情報 予算執行調査資料 総括調査票(令和5年6月公表分)(6/30)《財務省》
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調査事案名



調





(4)補助金申請システム等の内製化の効果分析を通じた政府情報システムの最適化
③調査結果及びその分析

(1)内製化を進めるべきシステムの選定基準
明確な基準は確立していないが、以下の2つの基準に該当す
るシステムは内製化の優先度が高いとの意見が多かった。
①柔軟かつ迅速な開発が求められるもの
マイナポータルやe-Gov、Jグランツ等、国民が直接触れるシ
ステム(フロント部分)や災害対応等と突発対応が必要なもの
については、国民の利便性向上のための改善を随時図るために
アジャイル開発による内製化が望ましい。
②将来的に中核になるシステム(ノウハウの蓄積)
デジタル庁では、政府の情報システムの全体最適を実現する
ために、国民向けポータル(マイナポータル等)や認証、API
連携基盤等の共通化を進め、府省庁等は共同利用し、経費削減
にもつなげる方針である。こうした中核機能については、政府
内にナレッジを蓄積するため内製化を優先的に検討している。
(2)内製化を進めるべき工程
企画・仕様書作成段階や開発段階の付加価値が高いところに
ついては優先的に内製化を行い、トータルコストのより大きな
効率化につなげる。企画・要件定義→開発と上流から進める。
【図4】Jグランツの内製化イメージ

企画・要件定義といった高
付加価値の上流工程は内製
化し、サービスのオーナー
シップを持つ
開発は規模や要件に応じて、
内製と外注を使い分け
ユーザーからの問い合わ
せ対応等は外注によって
コストを低減

(3)内製化を進める上での主な留意点
①政府情報システムの共通化の徹底
そもそも内製化を行うための高度人材等のリソースは限
られている。国や地方の情報システムの共通化や集約を徹
底することが重要である(=内製化の対象を減らす)。
②高度専門人材の不足
内製化を進める上で、政府の情報システム全体のアーキ
テクチャを自ら設計し、プロジェクトマネジメントだけで
なく、必要に応じて自らコードを書くこともできる高度人
材が必要であるが、そもそもこうした人材は国内では官民
問わず不足しており、外部からの採用だけでなく、中長期
目線での部内育成も必要である。
③標準的な開発フレームワークの整備
内製化に起因するリスクとして、ドキュメント作成の不
徹底等による属人化等がある。こうしたリスクを低減し、
内製開発の品質を担保するため、デジタル庁が中心となっ
て政府の情報システム開発の標準的なフレームワーク(ツ
ールやドキュメント等)を整備する必要がある。これによ
り、技術力のある中小企業やスタートアップ企業での活用
にもつながる。
④専門人材が活躍できる環境の構築
デジタル化を適切に進めるには業務に精通した行政人材
と技術力を持つ専門人材が円滑に連携できる業務環境や組
織文化が不可欠である。内製化を成功裏に進めるプロジェ
クトでは、内製化に至るまでに、業務環境や組織文化構築
を進めてきたところであり、今後内製化を行う府省庁にお
いても同様の取組が必要である。
(4)府省庁の情報システムを取り巻く実態
デジタル庁情報システム調達検討会の調査によると、発
注担当者の能力不足や企画・仕様書の内容の曖昧さ等が原
因で、多くの案件が一者応札になっているのが実態であり
結果として調達コストも高止まりしている。このように、
ほとんどの情報システムは内製化の前提となる人材や体制
等が整っていないため、まずは調達改革最終報告書が提示
する人材育成等を実践するところから始めるべきである。

④今後の改善点・検討の方向性

1.内製化すべきシステムや工程の選定基
準の確立と優先順位付け
内製化は国民向けサービスや突発的な災
害対応等、機動性や柔軟性が求められるも
のや、政府内にナレッジを残す必要性の高
いものを対象に推進する。また、企画や要
件定義、開発など高付加価値の工程を優先
的に内製化し、トータルコストの削減効果
が大きいものから、安全性等に留意の上、
優先的に取り組む。
2.政府情報システムの共通化の徹底
デジタル化による行政サービスの向上
と、システムの運用等経費削減等の行政の
効率化のためにも、デジタル庁がシステム
全体の最適なアーキテクチャを描き、シス
テムの共通化やその利用を徹底する。こう
した取組を通じて、内製化すべき対象の絞
り込み、内製化のための限られたリソース
の有効活用にもつなげる。
3.内製化や共通化の効果の定量化
費用削減効果等の大きなところから内製
化や共通化に取り組むためにも、内製化や
共通化の効果測定やデータの蓄積、分析を
推進する。また、トータルコストで費用対
効果を比較するためにも、人件費を含めた
管理会計も適切に実施する。
4.内製化を拡大する環境構築
内製化に起因するリスクを排除しつつ、
府省庁や地方自治体にも適切な内製化を展
開するためにも、政府の標準的な内製化フ
レームワーク(ツールやドキュメント等)
の開発や、専門人材の採用や育成、専門人
材が活躍できる業務環境や組織文化の構築
等を進める。

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