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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (52 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 12 罹患後症状と産業医学的アプローチ

2.職域連携のポイント
復職などで患者の職場と連携する際,以下に留意する.

1)正確な医学・医療情報を伝える
・事業者が労働者(患者)に対して配慮(就業上の措置)を行うときには,何らかの根拠が必要に
なる.したがって,治療者はただ単に職場での配慮を求めるのではなく,その「医学的な根拠」
を併せて示すことが必要である.正確な医療情報が伝わることで,事業者が安心して当該労働者
を就業させることにつながる*.
その際,現時点での罹患後症状を伝えるとともに,不明・不確定なことであればそのことも併
せて説明する.患者が就労しており,職場で何らかの配慮が必要な場合,現在の継続する症状(困
りごと)の想定される原因,今後予想される障害などについて,事業者が労働者に配慮するこ
との納得感を持つことができる説明をするとよい.
[説明例①]「現在,発症している筋力低下に対しては,可能な限り立位作業の負担が少なく なるよ
うな配慮が望ましい.原因として ICU 入院長期臥床による筋力低下が疑われるが,COVID-19
による神経学的な合併症の可能性も否定できない.通院継続による治療および経過観察を要す」
など.
[説明例②]「COVID-19 罹患後は,症状等により一時的に作業時間の短縮が必要といった海外
の報告もあり,職場復帰当初はこまめな休憩等を含めて作業時間の短縮の配慮が望ましいと考え
ます」など.罹患後症状と別の症状(治療中の別疾患など)が原因の場合には,「COVID-19 と
は関係のない症状が原因のため,これまでの職場での配慮を継続することが必要です」といった
ように,関係ない症状まで罹患後症状の一部に入れないよう留意する.

2)事業者が知りたいことを伝える
○(事業者が知りたいこと)いつまで症状が続くのか,いつまで職場は配慮することが望ましいのか?
[説明例]1 カ月後に再診予定であり,それまでは○○の作業は作業時間や作業方法を軽減する
など,配慮が望ましい.また,加療後,半年程度は通院・治療を要す.通常 1 年以内に加療は終
了する,など.
(可能であれば事前に職場とコミュニケーションをとり,職場から「勤務情報提供書」などの提
供を受ける.)
○(職場が知りたいこと)具体的に,職場では何を配慮すればよいのか?
[説明例]疲労感がある人への就業軽減の場合,「継続する疲労感に対し,勤務するならば半日勤
務が望ましい」「継続する疲労感に対し,連続作業が続くので 1 時間に 10 分休み」「継続する疲
労感に対し,労働強度を下げる(屋外作業から,デスクワークへの一時的配置はどうか)
」など,
具体的な記述は職場での配慮の助けになる.

3)罹患後症状への職場での配慮に関する 3 視点
患者の職場復帰時に続いている罹患後症状について,以下の 3 つの視点で配慮の内容を構造
化すると,助言すべき視点を整理することが容易になる.
①患者の健康や安全を脅かす状況への配慮(例:筋力低下のある患者の高所作業を制限)
②環境調整や障壁の変更・除外をする配慮(例:疲労感の続く患者に対し休憩所利用許可)
③本来業務を行う能力が損なわれた場合の配慮(例:味覚障害のある患者の調理作業制限)
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