よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (41 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

10

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 10 小児へのアプローチ

小児へのアプローチ

1.はじめに
小児においても成人と同様に COVID-19 に罹患した後に遷延または新たに発症する症状
が認 め ら れるこ と があ るが, こ れ ま での研 究にお いて「 小児の long COVID ま たは post
COVID-19 condition(以下,罹患後症状)
」の定義がさまざまであり,研究同士の比較が困難
であったことから,海外では専門家と当事者(患者,保護者)のパネルの協議に基づき,下記
のような定義が提唱されている.
小児における罹患後症状とは,以下のような症状(そのうち少なくとも一つは身体的な症状)
を子どもまたは若年者(17 歳以下)が有する状態である:
1)COVID-19 であることが検査によって確定診断された後に継続して,または新たに出現した
2)身体的,精神的,または社会的な健康に影響を与える
3)日常生活に何らか形で支障をきたす(例えば,学校,仕事,家庭,人間関係など)
4) COVID-19 の診断がついてから最低 12 週間持続する(その間,症状の変動があっても良い)
ただ,小児では成人と比べるとその頻度は低いとされ,年長児よりも年少児ではさらに少な
いと報告されている.さらに,小児では元々機能性身体症状を呈することが多く,それが心理
社会的ストレスに伴い心身症となりやすい年齢群でもあり,COVID-19 に罹患したストレスに
よって,さまざまな症状が出現する可能性がある.さらには罹患していなくてもコロナ禍の生
活の変化や制限のために罹患後症状とよく似た心身の変調を訴える小児が増えているため,小
児における罹患後症状というものを単一の疾患概念と捉えることは困難と思われる.現時点で
の知見は乏しく,診療におけるコンセンサスはまだ得られていないため,本稿における記載も
暫定的なものと捉えていただきたい.
なお,COVID-19 罹患後 2~6 週くらいして発症する過剰な炎症反応が全身諸臓器に生じる
重篤な病態~小児多系統炎症性症候群は,小児~若年成人における特徴であるが,本稿では触れ
ない.その他,成人と同様に小児の糖尿病発症の誘因の一つとなるのではないかとの報告もあ
るが,長期的な影響については知見の集積が待たれる.

2.科学的知見
小児では成人と比べて COVID-19 罹患後に症状が遷延することは少ないとされ,日本小児
科学会の調査でも 1 カ月以上症状が遷延する症例はレジストリに登録された症例の 3.2 % に認
められるのみだった.主な症状は頭痛,倦怠感,嗅覚・味覚障害などであったが,対照群がな
いためにこれらの症状が実際に COVID-19 に罹患した小児で多くみられるものなのかは不明
である.
対照群との比較を行った研究が 6 つあり,そのうち 4 つでは COVID-19 症例群で対照群よ
りも有意に多く症状が遷延していることが示された.しかし症状は嗅覚・味覚障害を除くと
非特異的なものであり,対照群においてもメンタルヘルスに関わるさまざまな症状が多く認
められた.さらに重要なことは,症例群と対照群との間に有意差を認めなかった 2 つの研究
41