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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 6 神経症状へのアプローチ

症状が改善して社会復帰できる場合は特段問題ないが,回復に時間がかかる場合もある.そ
の際には,復職までに時間がかかる可能性があることを本人によく説明する.患者自身が復帰
できそうだと言って,完全な社会復帰を許可すると,疲労感・倦怠感のため復帰に失敗するこ
とがある.個々の状況を考えながら,社会復帰の計画をたてる必要がある.難治例では復職自
体も非常に困難な場合がある(表 6-2).
患者自身が,改善しないのではといった思いをもつ場合も多い.改善している症状を患者と
共有し,自信をもっていただくことも医師の役割である.COVID-19 罹患後症状の外来経験は
蓄積されつつあるが,罹患後症状に特異的な診断方法や治療方針は確立していないことを患者
に説明を行うことも適宜必要である.
表 6-2 難治性の症例(30 歳代男性

事務職)

・コロナに感染(PCR により確定)
.急性期症状として微熱,嗅覚・味覚低下あり.
・自宅療養後 1 カ月で復職.嗅覚,味覚はほぼ改善した.
・当初から全身倦怠感はあったが,徐々に悪化して仕事が困難になり再度休職.いろいろな治療を受けたが効果なし.
・一時的には少し改善があり,散歩もできるようになったが,不眠,動悸,食欲低下,聴覚過敏が出現し受診した.
・一般採血,胸部単純写真,心電図,頭部 MRI は異常なし.
・脳血流 SPECT:前頭葉を中心に不規則な血流低下.
・心理検査:遂行機能の軽度低下〔TMT-J: Part B 62s(1SD<55,2SD<65,FAB 18/18〕
・安静にしていると体調のよいときもあるが,いろいろ作業をしてしまうと翌日疲れてしまって,何もできないといっ
たこともあった.
・睡眠導入剤などを中心に加療しているが,改善は得られていない.

6.専門医・拠点病院への紹介の目安・タイミング
診察した医師自身で,患者をフォロー可能と判断できる場合,
症候が改善してきている場合は,
ただちに専門医へ紹介をせずに,
そのまま外来で経過を追跡するスタンスも重要である.
その際,
短期間で再診を行い,悪化があれば速やかに専門医へ紹介する.神経学的な訴えに対応できな
い場合は,早めに脳神経内科専門医を紹介することが望ましい.神経系に関わる検査を施行せ
ずに紹介をしたほうが,類似の検査の繰り返しによる患者負担を避けられる.

7.専門医・拠点病院でのマネジメント
複数の専門分野にまたがる罹患後症状に対応する外来は,この疾患の管理に有用な幅広い知
識と経験をもつ医師が主導することが望ましい. まず,COVID-19 とは関係のない疾患が存
在する可能性を調べる.
社会的な支障をきたす認知障害が出現した患者では,認知機能検査や心理検査を検討する.
COVID-19 以外の原因に伴う認知症,特に治療可能な認知症を鑑別する.このために頭部 MRI
や脳波,脳脊髄液検査などを行う.睡眠障害を認める場合は終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG 検査)
を検討する.動悸や頻脈,起立性低血圧を認める患者では,自律神経異常症を考慮する.
疲労感・倦怠感の原因は,感染後の何らかの臓器障害に伴うもの,精神疾患に伴うもの,そ
して特発性に分類できる.診察時には,原因を明らかにする目的で,臓器障害や精神疾患を特
定する検索を行うことが推奨される.生活指導としては,活動の数時間から数日で疲労の悪化
がみられる患者には,慎重なペース配分と休息が重要であることを伝える.
足のしびれや筋力低下を呈する患者では,COVID-19 の急性期の重症度を確認し,critical
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