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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (12 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 3 呼吸器症状へのアプローチ

画像については,SARS-CoV-2 によるウイルス性肺炎に関する 46 論文のメタ解析では,炎
症性陰影(すりガラス影など)は 50 % にみられ,時間とともに有意に軽減する一方,線維化
所見は 29 % に認め,時間とともに軽減するものの有意ではなかったと報告されている.
91 例の胸部 CT 画像を検討した研究では,症状発現 1 年後に 54 % において主として胸膜
下の網状影やすりガラス影などの異常所見が認められた.多変量解析では,60 歳以上,急性
期に病態が重篤であったこと,男性,の 3 項目が 1 年後の異常所見の残存と有意に関連して
いた.特筆すべき点として,異常所見は時間とともに改善したが,症状発現時からおよそ 1 年
後に異常所見がみられた患者の 63 % では,その 6 カ月前(症状発現 6 カ月後)から所見の改
善傾向がなかったと報告されている.
COVID-19 罹患後にみられる肺炎は,重症例では ARDS を生じ機械的換気を要することが
あり,COVID 肺炎が遷延しているのか,人工呼吸器による肺障害なのかを区別することでき
ない.ちなみに,287 名の患者のうち,酸素投与のみ,CPAP,IMV の各治療群で 1 年後の胸
部 CT 画像の異常所見の頻度を比較した研究では,それぞれ 46 %,65 %,80 %であったと
の報告がある.非線維化性間質性肺炎の所見,特に網状影とすりガラス影が主なものであり,
蜂巣肺は 1%にしか認めなかったと報告されている.
このような肺病変を生じる機序は明確ではないが,SARS-CoV2 特異的なメモリー T 細胞と
B 細胞が血液よりも肺の局所に多く,CD8 陽性 T 細胞が高齢者の遷延する肺機能異常と関連
しているとの報告がある.
また,肺血管の微小血栓や炎症性の微小血管障害が生じることが明らかとなっているが,こ
れらが CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧)や肺動脈性高血圧を生じるかどうかは現時点では
不明とされている.

3.症状へのアプローチ
図 3-1









診療のフローチャート

息苦しさ,
咳,痰,
咽頭痛
など

軽快

問診や身体診察で鑑別診断を
絞り込む
●呼吸機能障害
●肺炎
●器質化肺炎
●心疾患
(心不全,虚血性心疾患など)
●肺血栓塞栓症
●うつ・不安症など

<基本的な検査>
・胸部単純写真
・ECG
・血液検査
(CBC,BNP,CPK
D ダイマー含む)
・SpO2 など

原因不明








原因精査
・肺機能検査
・6分間歩行試験など
・喀痰検査
・心エコー
・血管造影
・HRCT
・造影CT
・動脈血ガス

異常なし

経過観察

持続・悪化
3~6カ月持続する場合

診断を導く
●呼吸機能障害
●肺炎
●器質化肺炎
●心疾患(心不全,虚血性
心疾患など)
●肺血栓塞栓症
●うつ・不安症など

12

●原因に対する治療
●対症療法
●リハビリ*2
●精神的ケア

*1

*1 : 肺炎, 心不全, 虚血性心疾患, 肺血
栓塞栓症などに対する治療
*2 : 別項参照