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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 10 小児へのアプローチ

4.フォローアップすべき所見・症状
症状は倦怠感,息切れ,ふらつき,頭痛,食欲不振など多岐に及ぶが,どんな症状であれ日
常生活に支障をきたす(例えば不登校に繋がる)場合は,直ちにかかりつけ医を受診すべきで
ある.第一に,重大な器質性疾患が紛れ込んでいた場合にそれを見逃さないためであり,第二
に,機能性症状であった場合でも対応の遅れから長期に及ぶ不登校状態や引きこもりをきたす
と,学校生活やその後の社会復帰に大きな支障となるからである.

5.プライマリケアにおけるマネジメント
かかりつけ医は,本人および保護者のそれぞれから十分に話を聴き,ていねいに身体診察を
行い,基本的な検査を行う.問診内容,身体診察において注意すべき所見,検査の内容につい
ては,訴える症状に応じて 3 ~ 7 章で示されたような系統的なアプローチを行う(小児におい
ても,成人における呼吸器系,循環器系,感覚器系,神経系,精神系に対する系統的アプロー
チや痛みに対する包括的なアプローチを参照することができる)

小児においては特に心理社会的因子の関与が疑われる場合には,本人が元々もっている性格や
不安の強さ,発達特性などの素因,家庭における生育環境,学校や地域社会などの生活環境と
いう背景を捉える.
起立性調節障害(OD)を代表とする自律神経機能不全の好発年齢でもあり,疑われる場合
には新起立試験を実施する.また OD が心身症となることが少なくないため,
「心身症として
の OD チェックリスト」も確認する .その他にも,心身相関が強い小児では心身症としてさま
ざまな身体的異常を呈することがあることに留意する.
身体症状に対する治療は症状に応じてきちんと行う.明らかな身体的異常がみつからない場
合でも,安易に「心因性」という言葉で片づけないようにする.当事者にとって「心因性」と
いう説明はしばしば「自分の訴えを全否定している」と受け取られる恐れがある.訴えを傾聴
し,共感して対応し,十分な信頼関係を築いたうえで元の生活に戻していけるような助言を行っ
ていく.

6.専門医・拠点病院への紹介の目安・タイミング
訴えは非特異的なことが多く,通常の診察や検査で異常が指摘されなくても,見落としては
ならない器質的疾患を確実に鑑別する必要がある場合(例えば頭痛や嘔吐を訴える患児におけ
る脳腫瘍の可能性)には,高次医療施設における精査を行う.
また,心理社会的ストレスの影響が大きく,小児科総合医としての傾聴や助言では対応が困
難だと判断された場合には,十分な信頼関係が構築され,紹介することは見放すわけでも精神
的なものとレッテルを貼るわけでもないことがしっかり伝わるような状況の下で,児童精神科
や小児心療内科に紹介する.
万が一,自殺企図や強い自殺念慮などが認められた場合には,専門医療機関に速やかに紹介
すべきである.

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