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【別添】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版) (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第1版)」の周知について(4/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き

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別冊

罹患後症状のマネジメント・第1版 ● 2 罹患後症状を訴える患者へのアプローチ

罹患後症状を訴える患者へのアプローチ

罹患後症状は,特別な医療を要さない軽度の症状から,長期にわたるサポートを必要とする

症状までさまざまである.日本国内でも罹患後症状の専門外来を設置する医療機関が増えてい
るが,そのため,かかりつけ医等が慎重な経過観察や対症療法を行い,必要に応じて専門医に
紹介することによって対応することは十分可能と考えられる.ここでは,罹患後症状を訴える
患者への一般的なアプローチについて述べる.
初診時の医療面接においては,患者の COVID-19 の急性期の病歴について聴取を行う.こ
れには,発症日,症状の経過,症状の期間と重症度,基礎疾患や合併症の種類(血栓塞栓症,
臓器障害の有無と程度,酸素投与の有無,人工呼吸管理の有無,せん妄の有無)
,PCR 検査や
抗原検査の結果,投与された薬物治療などが含まれる.複数の症状を訴えることはめずらしく
なく,体系的に聴取することが望ましい(図 1-1 参照)
.それぞれの症状についてさらに評価
を進める際は,次章以降の臓器別アプローチを参考にする.
次いで,酸素飽和度を含めたバイタルサイン測定,身体診察を行う.血液検査は必須では
ないが,原因が不明の罹患後症状がある場合には検査が有用なことがある(詳細は各章を
参照).なお,SARS-CoV-2 PCR 検査や抗原検査は再感染を疑う場合を除き適応がない.
SARSCoV-2 の抗体検査は,現状,WHO は,疫学調査目的での使用を除き診断目的での使用
を推奨しないとしている.現在,国内で体外診断用医薬品として承認を得た抗体検査はなく,
研究用試薬として市販されている抗体検査機器の精度はさまざまであり,感染後の抗体の持続
期間についても知見は定まっていないため,過去の感染の確認を行う目的で抗体検査を使用す
るべきではない.
米国疾病予防管理センター(CDC)の暫定ガイダンスによると,罹患後症状の中には,他の
ウイルス性疾患罹患後にみられる可能性がある症候群〔筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/
CFS),体位性頻脈症候群(POTS)のような自律神経失調症,
マスト細胞活性化症候群(MCAS)
など〕の症状と類似性を共有するものがあるかもしれないことが記載されている.また,同様
の罹患後症状は,SARS や MERS といった致死率の高い他のコロナウイルス感染症から回復
した患者にも報告されている.
なお,COVID-19 罹患後に糖尿病の発症および血糖降下薬の使用リスクが増大するといった
報告もある.引き続き知見を集積する必要があるが,留意すべき事項と思われる.
罹患後症状の発現には複合的な要因が関与していると考えられるため,全人的なアプローチ
が重要である.社会人においては就労復帰が課題となることもしばしばあり,多職種の連携が
重要となる場合もあると考えられる.

◆引用・参考文献◆
・US CDC. Post-COVID Conditions: Interim guidance(updated June 14, 2021)
・Yan Xie, et al. Risks and burdens of incident diabetes in long COVID: a cohort study. Lancet Diabetes Endocrinol
2022.

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