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資料1-2-4診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (39 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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54 成人成人発症スチル病
○ 概要
1.概要
小児の熱性疾患として Still(1897)により記載されたスチル病(現在は、若年性特発性関節炎(juvenile
idiopathic arthritis)のうち全身型は、小児の熱性疾患として Still(1897)により記載されたスチル病と同じも
のである。スチル病には成人発症例もある全身型と呼ばれる)と同様の病像は成人期にも発症することが、
Bywaters(1971)の報告以来知られており、成人発症スチル病と命名されている。16 歳以上を成人とするが、
小児例と病像は同様、治療方針も同じである。し、これまで小児発症で成人まで遷延した例と合わせて成
人スチル病と呼ばれ呼称していたが、本邦集計で成人例成人スチル病の 88%が成人発症型であった。
成人例の本邦にはおよそ 5,000 人の成人発症スチル病罹患者がいると推定されている。発症年齢は、本
邦集計で 20 歳前後をピークに年齢とともに集計数が罹患者数は減少し、6割は 16~35 歳に分布し、する
が、高齢発症もある。女性が男性の2倍である。高年齢では女性に偏り、稀に 80 歳代の発症例も不明熱の
代表的疾患であり、悪性腫瘍、感染症、膠原病との鑑別が重要である。
2.原因
病因は未定であり、ウイルスを含む様々な病原体との関連を述べた症例報告が多数あるが、有力候補は
ない。特定の HLA アレルとの相関も報告はあるが、確定的なものがない。自己抗体は検出されないが、ス
テロイド治療が著効する炎症性疾患であり、自己炎症性疾患の病像と共通点が多い。感染症などを契機と
した自然免疫系の異常な活性化状態の持続が本態であると推定され、多遺伝子性の自己炎症性疾患に
分類される。血清中にインターフェロン、インターロイキン 6(IL-6)、IL-1、IL-18、腫瘍壊死因子(TNFα) )
などの炎症性サイトカインが増加している。血清 IL-18 が著増し、血清フェリチン上昇と相関する。マクロフ
ァージ活性化に起因すると考えられている。
3.症状
成人発症スチル病で関節炎の主たる症状は診断条件ではないが、一過性のものを含めれば集計率は
100%、発熱、関節痛、皮疹である。普通破壊性でないが、スワンネックを含む変形もみられ、一部の症例
には関節リウマチと類似した骨びらんもみられる。
高い弛張熱ないし間欠熱がは必発であり、悪寒を伴うこともある。初期あるいは再燃しつつある時期には、
回帰的発熱(平熱の日を含む。)もみられる。
関節痛は、一過性のものを含めればほとんどの症例でみられる。破壊性ではないが、一部の症例には関
節リウマチと類似した骨びらんや骨性強直もみられる。
サーモンピンク疹といわれる皮疹の“出没”が、スチル病の有力な証拠となる。膨疹また又は隆起のない
径数 mm の桃色の皮疹の集簇である。掻痒瘙痒感は一般にない。発熱時に出現し、解熱時に消退する傾
向があるが、無熱時にもみられる。熱性病態に伴う皮疹をスチル病のものとみなすには、“出没”に注目す
る。みられても良い。
また、咽頭痛、リンパ節腫大がみられる。肝脾腫は高頻度にみられるが、遷延したウイルス感染症、悪

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