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資料1-2-4診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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MCTD の臨床症状は、早くから3疾患の混合症状として捉えられてきた。しかし、疫学調査で症例の5%に
肺高血圧症があり、10%にその疑いが持たれている事実が明らかとなっている。肺高血圧症は重篤な病態
であり、早期に発見して適切な生活指導をすることが必要となる。よって MCTD と診断されたら、肺高血圧
症の有無について肺拡散能や心エコーなどを行う。
その他の特徴的症状としては、顔面の三叉神経 II 枝又は III 枝のしびれ感を主体とした症状で、MCTD の
約 10%にみられる。また、NSAIDs 服用後に起きる無菌性髄膜炎も本症では約 10%にみられる。合併症と
しては、シェーグレン症候群 (25%)、慢性甲状腺炎 (10%)などである。
4.治療法
本症は自己免疫疾患であり、抗炎症療法と免疫抑制療法が治療の中心となる。非ステロイド抗炎症薬
(NSAIDs)もしばしば使用されるが、まれに無菌性髄膜炎が誘発される点に注意する。急性期には副腎皮
質ステロイドがや免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリンなど)などの治療のが中心となるが、一旦
開始すると長期投与となるため、骨粗鬆症や糖尿病、感染症の誘発に注意する。全身性エリテマトーデス
様の臨床症候が主体となる際には、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン)の使用が推奨される。なお、中枢
神経障害、急速に進行する肺症状障害・腎症状障害、血小板減少症を除いて大量副腎皮質ステロイドが
必要になることは比較的少ない。
また、MCTD の生命予後を規定する肺動脈性肺高血圧症に対して、近年いくつかの薬剤選択的肺血管
拡張薬が使用できるようになった。これらは肺血管拡張作用に加えて、肺動脈血管内皮平滑筋細胞などの
増殖を抑制する作用を有する。しかし、肺血管のリモデリングが進行した場合には、右心不全のコントロー
ルがより大切重要になるため、循環器内科と共同して治療に当たる必要がある。労作時呼吸困難など症状
が出現する前に診断・治療することが重要で、MCTD 患者では定期的な心臓超音波検査施行の施行が推
奨される。また、全身性強皮症や進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対しては、臨床症候、呼吸機能検査、
肺 HRCT 検査にて診断の上で、抗線維化薬であるニンテダニブが推奨される。
5.予後
発病からの5年生存率は 96.9%で、初診時からの5年生存率は 94.2%である。主死因は肺高血圧高血圧
症、呼吸不全、心不全など心肺系の死因が全体の 60%を占めている。
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成 26 令和元年度医療受給者証保持者数)
11,0059,835 人
2.発病の機構
不明(自己免疫性と考えられている。)
3.効果的な治療方法
未確立(根治的治療なし。)
4.長期の療養
必要(副腎皮質ステロイド長期投与)
5.診断基準

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