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薬剤耐性菌問題に関する調査報告書 (7 ページ)

公開元URL https://www.jpma.or.jp/information/international/stop_amr/initiative/tv28hf0000002ykb-att/2506_amr.pdf
出典情報 薬剤耐性菌問題に関する調査報告書(7/29)《日本製薬工業協会》
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2.

新規抗菌薬の開発・上市の現状と問題点
日本における抗菌薬市場の構造的課題
上述のとおり、AMR対策としては、適正使用の促進と新規抗菌薬の開発・供給が不可欠ですが、以下

のような、新規抗菌薬の開発が進まない市場構造が存在することが課題となっています。
1つ目は、適正使用の促進に伴う市場の縮小です。不適正な使用による耐性菌の増加を防ぐためにも
適正使用は推進されるべきですが、その一方で抗菌薬の販売量の減少につながり、市場規模は縮小して
います。
2つ目は、収益の不確実性が高いという市場特性です。生活習慣病等の慢性疾患とは異なり、細菌感
染症の感染拡大の時期及び規模は予測が困難であるため、患者数×薬価で算出される収益の不確実性
が高く、投資が難しい領域となっています。
また、抗菌薬を開発した企業は、製品上市後も安定供給やサーベイランス、耐性動向の調査、耐性菌
に対する効果検証のための追加調査、当局の指示のもと実施する薬剤耐性菌の動向調査等を実施する
義務があることから、これらの財政負担により倒産していったベンチャー企業もあります。このような市販
後対応義務も市場の構造的課題の1つです。
図表 3 新規抗菌薬創製の負のサイクル

出典:日本製薬工業協会作成

こうした構造的課題によって、抗菌薬市場の魅力が低下しており、同領域から撤退する企業が増加して
います。市場の魅力が低いことが研究開発力の低下を招き、新規抗菌薬の開発が進まないことにもつな
がっています。AMRの研究開発労働力は、過去20年間で大幅に減少しました。「AMR出版物」の著者の
総数は、1995年の3,599人から2020年にはわずか1,827人に減少」という報告があります10。

AMR Industry Alliance. Leaving the Lab: Tracking the Decline in AMR R&D Professionals. 2024.
https://www.amrindustryalliance.org/mediaroom/leaving-the-lab-tracking-the-decline-in-amr-rdprofessionals/
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