よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


薬剤耐性菌問題に関する調査報告書 (21 ページ)

公開元URL https://www.jpma.or.jp/information/international/stop_amr/initiative/tv28hf0000002ykb-att/2506_amr.pdf
出典情報 薬剤耐性菌問題に関する調査報告書(7/29)《日本製薬工業協会》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

Appendix 2.
日本におけるプル型インセンティブ導入の投資対効
果(詳細)
ここでは、日本におけるプル型インセンティブ導入の投資対効果について、試算内容を詳述します。
<試算の前提(仮定条件)>


6つの薬剤耐性菌を治療するために、30年間で合計18の新規抗菌薬を開発することを目指す新しいイン
センティブプログラムに、日本がコミットする。



各新薬は、開発後4年間保存された後に使用開始となり、毎年死亡者数を5%減少させる。5年目以降は
耐性菌の蓄積により有効性が対前年比2%低下する。



既存耐性菌の耐性成長率も同様に年率2%と仮定、新薬がなければ年間死亡者数は毎年2%増加する。

<費用分担の考え方>


サブスクリプションモデルを想定し、グローバル全体の必要金額は44億ドルとする。日本の費用分担は、
G7+EUにおけるGDPシェア(9.8%)に比例し、残りは他の国々が分担する。



インセンティブは10年間にわたって支払うこととし、支払完了後、日本は新規抗菌薬を限界費用に近い金
額で調達できるようになる。

<便益(健康損失の回避と医療費削減)の考え方>


健康損失:以下により、AMRに起因する現在の健康損失は年間98億ドル(約1兆2838億円)33と推計し
た。
✓ プル型インセンティブの対象となる6つの薬剤耐性菌による日本の現在の年間死亡者数は19,575人
✓ 死亡者1人当たり損失は金額換算で約499,000ドル(約6,537万円)



医療費: 以下より、死亡者1例当たり69,100ドル(約905万円)の費用が発生すると仮定した。
✓ Matsumoto et al. (2021) 34では、3つのグラム陰性菌のAMRによる日本の入院医療費は3,294億円/
年(約25億ドル/年)であると推計された。また、3つのグラム陰性菌のAMRによって、総計804,542
年の生命年が失われ、死亡例1件当たり22.1生命年が失われていると推計された。これらの数字を用
いて計算するとAMRによる日本の死亡者数/年は36,404例となる。
✓ 上述の入院医療費を死亡者数で按分して、AMRに関連する死亡例1件当たり約905万円(約69,100ド
ル)の費用が発生すると設定した。

2022年のレポートであり、日本のデータ(円単位)を当時の平均レート(1ドル=131円)を使用して米ドル換算した
上で試算されているため、ここでは当該レートを一貫して使用している。
34 Matsumoto et al. Estimating the Economic and Clinical Value of Reducing Antimicrobial Resistance
to Three Gram-negative Pathogens in Japan.
33

18