よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


薬剤耐性菌問題に関する調査報告書 (12 ページ)

公開元URL https://www.jpma.or.jp/information/international/stop_amr/initiative/tv28hf0000002ykb-att/2506_amr.pdf
出典情報 薬剤耐性菌問題に関する調査報告書(7/29)《日本製薬工業協会》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

G7各国におけるプル型インセンティブの現状
G7各国では、以下のとおり、「抗菌薬のアクセスの改善」と「研究開発促進」の2つの効果を狙った制度
の導入が進められています。最も進んでいるのはイギリスで、2021年からサブスクリプションモデルのパ
イロットプロジェクトを3年間実施し、その結果を踏まえ2024年から本格的に同制度を施行しています。ま
た、イタリアは、本年、新規抗菌薬に対して基金の活用を可能とする制度の運用を開始しました。
一方、日本において2023年度から実施されている抗菌薬確保支援事業は、薬剤耐性対策への協力で
生じる減収の一定額を国が支援するものであり、収益予見性並びにアクセス改善効果が期待できるもの
の、研究開発促進効果としては力不足の感が否めません。
図表 8 プル型インセンティブの効果
国・地域

プル型インセンティブの効果
抗菌薬のアクセスの改善

研究開発促進

イギリス

定期定額購買制度(導入済み)

アメリカ

定期定額購買制度(法案審議中)

EU

Transferable Exclusivity Extension

収入保証(導入済み)20

(法案審議中)
日本

抗菌薬確保支援事業(導入済み)

(未導入21)

イタリア

革新的医薬品および抗菌薬の開発促進のためのイノベーション基金活用 20

カナダ

パイロットプロジェクト 20

(パイロットプロジェクト実施後検討予定)

日本におけるプル型インセンティブの現状と課題
日本においては、研究開発段階における研究助成金、補助金による支援、税金控除等のプッシュ型イ
ンセンティブについては導入が進んでいます22。加えて、上述のように2023年度には、厚生労働省健康・
生活衛生局感染症対策部が主管する抗菌薬確保支援事業として、企業が国の薬剤耐性対策(販売量の
適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して、一定額を国が支援する制度が導入されました。し
かしあくまで適正使用を推進したために生じた減収分を補填するための制度であり、研究開発促進効果
は十分ではないと考えられます。
図表10に示したように、抗菌薬市場の構造的な問題を解決し、新規抗菌薬の研究開発を促進するため
に、他国でも導入・検討が進められている「収益保証」型のプル型インセンティブですが、日本では政府の

GLOBAL AMR R&D HUB, INCENTIVES FOR ANTBACTERIAL
https://dashboard.globalamrhub.org/reports/incentives/incentives
21日本製薬工業協会は、「抗菌薬市場におけるプル型インセンティブ制度の導入に関する製薬業界からの提言」に
おいて、Market Entry Rewardの導入を要望している。
22 感染症による健康危機対応としての AMR 対策 抗菌薬市場におけるプル型インセンティブ制度の導入に関する
政府向け提言書-持続可能な抗菌薬開発のエコシステム構築により国民の命を守る-,日経・FT 感染症会議,アジ
ア・アフリカ医療イノベーションコンソーシアム(AMIC)AMR 部会,p28,p29
https://www.amralliancejapan.org/wp/wpcontent/uploads/2021/03/RecommendationsOnPullIncentivesForAMRInJapanExecutiveSummary_JPN.
pdf
20

9