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薬剤耐性菌問題に関する調査報告書 (17 ページ)

公開元URL https://www.jpma.or.jp/information/international/stop_amr/initiative/tv28hf0000002ykb-att/2506_amr.pdf
出典情報 薬剤耐性菌問題に関する調査報告書(7/29)《日本製薬工業協会》
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2.

MER導入に向けた必要事項(予算、課題)
MER実施に必要となる予算(試算)
上述のCGD(Center For Grobal Development)のレポート29では今後、30年間で薬剤耐性の感染症

による270,000人の命を救うために、18の新しい抗菌薬を開発する必要があると想定しています。18の薬
剤開発に必要なインセンティブの総額は、前臨床から開発している場合で38.9億ドル(約5,835億円)、
Phase2からの開発の場合は28.3億ドル(約4,245億円)です。仮に30年間という期間で按分した場合、1
年間に必要なプル型インセンティブの金額は、前臨床から開発している場合は1.3億ドル(約195億円)、
Phase 2からの開発の場合は0.94億ドル(141億円)です。
図表 12 プル型インセンティブ(MER)実施に必要な金額(年額)

開発

総額

年額(30 年間按分)

前臨床~承認

38.9 億ドル(約 5,835 億円)

1.3 億ドル(約 195 億円)

Phase2~承認

28.3 億ドル(約 4,245 億円)

0.94 億ドル(約 141 億円)

(Phase1 薬剤購入)
(注)フェアシェアの考えに基づく、新規抗菌薬 1 つあたりの日本におけるプル型インセンティブ導入に必要な金額
を、必要な新規抗菌薬数 18 で乗じて算出。

MER実施に向けて検討すべき論点
MERの実施に必要となる予算規模は上述のとおりですが、当該予算をどのような名目の財源において
確保することが適切かという点も、重要な論点と考えられます。想定される主な財源としては、以下の3つ
が挙げられます。
① 医療費
新規抗菌薬の開発・上市は、多くの人命を救うとともに大きな医療費削減効果が見込まれており、新規
抗菌薬による日本の健康損失の回避効果30は30年間で約14.6兆円(972.5億ドル)、医療費削減効果は
約1.3兆円(89.2億ドル)と想定されます(Appendix 2)。前項で示したとおり、30年間で18の新しい抗菌
薬を前臨床から開発する際に必要なMERの金額として約5,835億円(38.9億ドル)を投じることで、多くの
人命を救うだけでなく、長期的により大きな医療費削減効果が期待されます。そのため、医療費を財源と
する選択肢も考えられます。
② 研究開発促進費

Estimating Japan’s Return on Investment from an Ambitious Program to Incentivize New
Antibiotics. CGD BRIEF. 2022 Dec.
https://www.cgdev.org/sites/default/files/estimating-eus-return-investment-ambitious-programincentivize-new-antibiotics.pdf
30 疾病にかかることでどの程度の健康生活が失われたかを表す指標である「障害調整生存年数(DALYs)」を金額
換算して算出
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