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会議資料全体版 (52 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59938.html |
出典情報 | セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会(第4回 7/25)《厚生労働省》 |
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数値に従うと、1 人当たりの減税額は 3333 円になる。
以上より、本稿のアレルギー性鼻炎市場を対象としたデータセットにおいては、セルフ
メディケーション税制が導入されたことで、同税制の新たな利用者は 834 名(=14896 名
×5.6%)
、同税制を利用しなくなったのは 609 名(=10878 名×5.6%)と、利用者が 225
名増加したことになる。さらに、この 225 名が 1 人当たり 3333 円の減税を受けたとする
と、政府の税収は 75.0 万円の減少になる。本稿の分析より明らかとなった薬剤費抑制効果
が 481.3 万円であるため、費用である減税額 75.0 万円を加味すると、セルフメディケーシ
ョン税制による実質的な財政効果は-0.22%(-406.3 万円)に止まる結果となった。
最後に本節の仮定に従うと、セルフメディケーション税制はアレルギー性鼻炎薬市場に
おけるスイッチ OTC 利用者を 10822 人(=27310 人-16488 人)増大させたことになる。
これら 10822 人が表 2 に記したスイッチ OTC(9 成分)の平均価格である 2589.5 円分の
スイッチ OTC を購入したとすると、アレルギー性鼻炎におけるスイッチ OTC 市場の規模
は 2802.4 万円拡大する。セルフメディケーション税制がなかったとする仮想現実での保険
適用薬市場の市場規模は 18 億 320.0 万円、対して実際に観測された市場規模が 18 億 2998.3
万円だった。したがって、本稿で用いたアレルギー性鼻炎を対象としたデータセットの範
囲において、セルフメディケーション税制は、保険適用薬とスイッチ OTC の総計として
の医薬品消費額を 5480.7 万円拡大させたことになる。
7.おわりに
本稿では、日本のアレルギー性鼻炎薬市場を取り上げて、セルフメディケーション税制
の導入がもたらした、薬剤費抑制への影響を明らかにした。同税制は、医療用医薬品の転
用であるスイッチ OTC 購入へのインセンティブを高めることで、医療資源の適正使用、
さらには薬剤費抑制につながることが期待されている。その一方で、同税制の薬剤費抑制
の効果は充分に検証されているといえず、実証的な課題が残されていた。
本稿の分析を通じて、次の 3 点が明らかとなった。まずセルフメディケーション税制の
導入前後で、アレルギー性鼻炎での受診者数は 2.6%低下しており、同税制は医療資源の適
正利用に寄与したことを示す結果が得られた。次に、離散選択モデルに基づく需要関数を
推定した結果、セルフメディケーション税制を通じて、医師の処方量が増加したことが明
らかとなった。シミュレーションの結果に基づくと、同制度の導入により、医療機関での
処方量は 1.8%増大した。最後に、これら結果に基づきセルフメディケーション税制の薬剤
費への影響を試算すると、本稿で用いたアレルギー性鼻炎薬市場を対象とした範囲におい
て、医師の処方行動の変化を通じて薬剤費は 1.5%増加したものの、患者の受診者数が
2.6%減少したことで薬剤費が押し下げられ、セルフメディケーション税制の全体としての
薬剤費抑制効果は-0.26%だったことが示された。
患者が要する費用を的確に認識して合理的に行動するならば、自身の負担がより小さい
20
以上より、本稿のアレルギー性鼻炎市場を対象としたデータセットにおいては、セルフ
メディケーション税制が導入されたことで、同税制の新たな利用者は 834 名(=14896 名
×5.6%)
、同税制を利用しなくなったのは 609 名(=10878 名×5.6%)と、利用者が 225
名増加したことになる。さらに、この 225 名が 1 人当たり 3333 円の減税を受けたとする
と、政府の税収は 75.0 万円の減少になる。本稿の分析より明らかとなった薬剤費抑制効果
が 481.3 万円であるため、費用である減税額 75.0 万円を加味すると、セルフメディケーシ
ョン税制による実質的な財政効果は-0.22%(-406.3 万円)に止まる結果となった。
最後に本節の仮定に従うと、セルフメディケーション税制はアレルギー性鼻炎薬市場に
おけるスイッチ OTC 利用者を 10822 人(=27310 人-16488 人)増大させたことになる。
これら 10822 人が表 2 に記したスイッチ OTC(9 成分)の平均価格である 2589.5 円分の
スイッチ OTC を購入したとすると、アレルギー性鼻炎におけるスイッチ OTC 市場の規模
は 2802.4 万円拡大する。セルフメディケーション税制がなかったとする仮想現実での保険
適用薬市場の市場規模は 18 億 320.0 万円、対して実際に観測された市場規模が 18 億 2998.3
万円だった。したがって、本稿で用いたアレルギー性鼻炎を対象としたデータセットの範
囲において、セルフメディケーション税制は、保険適用薬とスイッチ OTC の総計として
の医薬品消費額を 5480.7 万円拡大させたことになる。
7.おわりに
本稿では、日本のアレルギー性鼻炎薬市場を取り上げて、セルフメディケーション税制
の導入がもたらした、薬剤費抑制への影響を明らかにした。同税制は、医療用医薬品の転
用であるスイッチ OTC 購入へのインセンティブを高めることで、医療資源の適正使用、
さらには薬剤費抑制につながることが期待されている。その一方で、同税制の薬剤費抑制
の効果は充分に検証されているといえず、実証的な課題が残されていた。
本稿の分析を通じて、次の 3 点が明らかとなった。まずセルフメディケーション税制の
導入前後で、アレルギー性鼻炎での受診者数は 2.6%低下しており、同税制は医療資源の適
正利用に寄与したことを示す結果が得られた。次に、離散選択モデルに基づく需要関数を
推定した結果、セルフメディケーション税制を通じて、医師の処方量が増加したことが明
らかとなった。シミュレーションの結果に基づくと、同制度の導入により、医療機関での
処方量は 1.8%増大した。最後に、これら結果に基づきセルフメディケーション税制の薬剤
費への影響を試算すると、本稿で用いたアレルギー性鼻炎薬市場を対象とした範囲におい
て、医師の処方行動の変化を通じて薬剤費は 1.5%増加したものの、患者の受診者数が
2.6%減少したことで薬剤費が押し下げられ、セルフメディケーション税制の全体としての
薬剤費抑制効果は-0.26%だったことが示された。
患者が要する費用を的確に認識して合理的に行動するならば、自身の負担がより小さい
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